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危険物取扱者乙4の法令の全体像|製造所等の区分・許可・免状・保安体制

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危険物取扱者試験の乙種第4類(乙4)では、「危険物に関する法令」から15問が出題されます。範囲は広いものの、中身は消防法の第3章と、危険物の規制に関する政令(以下「危政令」)・規則(以下「危規則」)にまとまっています。この記事では、法令の範囲を「物→場所→手続→人→運用」の順に並べた地図を示し、危険物の定義、製造所等の区分、許可と届出、危険物取扱者と免状、保安体制の基本を、条文で確かめながら整理します。細かい数字は[数字で覚える保安の規定](/guide/safety-numbers/)、計算は[指定数量の記事](/guide/designated-quantity/)で扱います。

この記事の要点

  • 乙4の法令は15問で、9問以上(60%以上)の正解が必要です。範囲は、危険物の定義・製造所等の区分・許可と届出・危険物取扱者と免状・保安体制などに分けて整理できます。
  • 指定数量以上の危険物は、製造所・貯蔵所(7種)・取扱所(4種)以外で貯蔵・取り扱えません(消防法10条1項)。設置と変更には市町村長等の許可が必要です(消防法11条)。
  • 乙種の危険物取扱者は、免状に指定された類を取り扱い、立ち会うことができます。危険物保安監督者になるには、甲種または乙種で実務経験6か月以上が必要です(消防法13条1項)。

法令15問の地図:「物→場所→手続→人→運用」で整理する

乙種の試験は、危険物に関する法令15問・基礎的な物理学及び基礎的な化学10問・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法10問で(消防試験研究センターの公表)、試験科目ごとの成績がそれぞれ60%以上で合格です(危規則55条の2)。法令は15問のうち9問以上の正解が必要なので、苦手な分野を残さないことが大切です。試験の仕組みは試験の概要の記事で紹介しています。

法令の条文を頭から読むと迷いやすいので、乙4なびでは法令を14の項目に分け、次の5つの段階で整理しています。

段階乙4なびの項目中心になる条文
物(何が危険物か、どれだけで規制されるか)危険物の定義と類・品名/指定数量と倍数の計算消防法2条7項・別表第一、9条の4、10条、危政令1条の11・別表第三
場所(どこで貯蔵・取り扱うか)製造所等の区分/保安距離と保有空地/位置・構造・設備の基準/消火設備・警報設備・避難設備危政令2条・3条、9条〜21条の2
手続(許可・検査・届出)設置・変更の許可と各種の届出消防法11条〜11条の4、12条の6
人(誰が取り扱い、誰が監督するか)危険物取扱者と免状/保安講習/保安体制(保安監督者・施設保安員・予防規程)消防法12条の7〜14条の2、危政令30条の3〜37条
運用(日々の基準と違反への措置)定期点検/貯蔵・取扱いの基準/運搬と移送の基準/義務違反と措置命令消防法10条3項、11条の5、12条〜12条の3、14条の3の2、16条〜16条の3、危政令8条の5、24条〜30条の2

製造所・貯蔵所・取扱所をまとめて「製造所等」と呼びます。消防法は「製造所、貯蔵所又は取扱所」と書き、危政令以下は「製造所等」という言い方を使います。

危険物の定義と、第4類の品名

消防法でいう危険物は、別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表の性質欄の性状を持つものです(消防法2条7項)。高圧ガスや毒物のように、ほかの法律で規制される物とは別の定義です。別表第一は、性質ごとに第1類から第6類に分かれます。

類性質代表的な品名
第1類酸化性固体塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、硝酸塩類など
第2類可燃性固体硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム、引火性固体
第3類自然発火性物質及び禁水性物質カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、黄りんなど
第4類引火性液体特殊引火物、第1石油類、アルコール類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物油類
第5類自己反応性物質有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物など
第6類酸化性液体過塩素酸、過酸化水素、硝酸

消防法別表第一。固体・液体の区別も別表の備考で定義されており、気体は危険物に当たりません。

乙4で扱う第4類は「引火性液体」です。7つの品名は、主に1気圧での引火点で分かれます(消防法別表第一の備考)。

品名定義(1気圧)別表の例示
特殊引火物発火点が100度以下、または引火点が零下20度以下で沸点が40度以下ジエチルエーテル、二硫化炭素
第1石油類引火点が21度未満アセトン、ガソリン
アルコール類炭素の数が1〜3個の飽和一価アルコール(変性アルコールを含む)(例示なし。組成等により除くものがある)
第2石油類引火点が21度以上70度未満灯油、軽油
第3石油類引火点が70度以上200度未満重油、クレオソート油
第4石油類引火点が200度以上250度未満ギヤー油、シリンダー油
動植物油類動物の脂肉等や植物の種子・果肉から抽出したもので、引火点が250度未満(一定の方法で貯蔵保管されているものを除く)

消防法別表第一の備考11号〜17号。第2石油類〜第4石油類は、塗料類などで組成を勘案して省令で除くものがあります。第3石油類・第4石油類・動植物油類は、1気圧・20度で液状のものに限られます(備考10号)。

引火点の境目(21度・70度・200度・250度)は、指定数量の表とあわせて覚えると効率的です。各品名の性質は第4類の性質の記事で扱います。

製造所等の区分:製造所・貯蔵所7種・取扱所4種

指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所で貯蔵したり、製造所・貯蔵所・取扱所以外の場所で取り扱ったりしてはいけません(消防法10条1項)。目的で分けると、製造所は危険物を製造する施設、貯蔵所は貯蔵する施設、取扱所は製造以外の目的で取り扱う施設です。貯蔵所は7種(危政令2条)、取扱所は4種(危政令3条)に分かれます。

区分名称どんな施設か
貯蔵所屋内貯蔵所屋内の場所で貯蔵・取扱い
貯蔵所屋外タンク貯蔵所屋外にあるタンク
貯蔵所屋内タンク貯蔵所屋内にあるタンク
貯蔵所地下タンク貯蔵所地盤面下に埋没されているタンク
貯蔵所簡易タンク貯蔵所簡易タンク(容量600リットル以下。危政令14条5号)
貯蔵所移動タンク貯蔵所車両に固定されたタンク(いわゆるタンクローリー)
貯蔵所屋外貯蔵所屋外の場所。貯蔵できる危険物が限られる
取扱所給油取扱所給油設備で自動車等の燃料タンクに直接給油する
取扱所販売取扱所店舗で容器入りのまま販売する。指定数量の倍数が15以下は第1種、15を超え40以下は第2種
取扱所移送取扱所配管とポンプなどで危険物を移送する(敷地内で完結するものを除く)
取扱所一般取扱所上の3つ以外の取扱所(ボイラーで危険物を消費する施設など)

危政令2条1号〜7号、3条1号〜4号。

許可・検査・届出の流れ

製造所等を設置するときと、位置・構造・設備を変更するときは、市町村長等の許可を受けます(消防法11条1項)。許可をするのは、消防本部と消防署を置く市町村ではその市町村長、置かない市町村では都道府県知事です。移送取扱所は、1つの消防本部等所在市町村の区域だけなら市町村長、それ以外は都道府県知事(2以上の都道府県にわたるものは総務大臣)です。

  1. 設置・変更の許可を受ける(消防法11条1項)。
  2. 液体の危険物のタンクがある製造所等(製造所・一般取扱所は、容量が指定数量以上のタンクがある場合)では、タンクの工事の工程ごとに完成検査前検査を受ける(消防法11条の2、危政令8条の2)。
  3. 工事が終わったら完成検査を受け、基準に適合すると認められてから使用する。完成検査済証が交付される(消防法11条5項、危政令8条)。
  4. 変更の工事中に、工事に関係しない部分を使いたいときは、市町村長等の承認を受けて仮使用できる(消防法11条5項ただし書)。

許可のほかに、届出で足りる手続があります。届出の相手は、どれも市町村長等です。

手続期限条文
位置・構造・設備を変えずに、危険物の品名・数量・指定数量の倍数を変更変更しようとする日の10日前まで消防法11条の4第1項
製造所等の譲渡・引渡しを受けた(地位の承継)遅滞なく消防法11条6項
製造所等の用途を廃止した遅滞なく消防法12条の6
危険物保安統括管理者・危険物保安監督者を定めた、または解任した遅滞なく消防法12条の7第2項、13条2項

予防規程は届出ではなく、市町村長等の認可が必要です(消防法14条の2第1項)。危険物施設保安員には、選任の届出の規定がありません(消防法14条)。

危険物取扱者・免状と保安体制

危険物取扱者が取り扱える危険物と立会い

免状取り扱える危険物立会い
甲種すべての類できる(すべての類)
乙種免状に指定された類(乙4なら第4類)できる(指定された類だけ)
丙種ガソリン、灯油、軽油、第3石油類(重油、潤滑油、引火点130度以上のもの)、第4石油類、動植物油類できない

危規則49条。製造所等では、危険物取扱者以外の者は、甲種または乙種の危険物取扱者が立ち会わなければ危険物を取り扱えません(消防法13条3項)。

免状の交付・書換え・再交付

  • 免状は、試験に合格した者に都道府県知事が交付します(消防法13条の2第3項)。返納を命じられて1年を経過しない者や、消防法令に違反して罰金以上の刑に処せられ、執行を終わるなどしてから2年を経過しない者には、交付しないことができます(同条4項)。
  • 書換えは、記載事項に変更が生じたとき、遅滞なく、交付した知事か、居住地・勤務地の知事に申請します(危政令34条)。
  • 再交付は、亡失・滅失・汚損・破損のとき、交付または書換えをした知事に申請できます(危政令35条1項)。亡失した免状を見つけたら、10日以内に再交付を受けた知事に提出します(同条3項)。
  • 移動タンク貯蔵所で移送するときは、危険物取扱者が乗車し、免状を携帯します(消防法16条の2第1項・3項)。

保安体制:誰を置き、何を定めるか

役割・決まり必要な製造所等(概要)要件など条文
危険物保安統括管理者第4類を指定数量の3,000倍以上取り扱う製造所・一般取扱所などがある事業所事業の実施を統括管理する者を充てる消防法12条の7、危政令30条の3
危険物保安監督者製造所・屋外タンク貯蔵所・給油取扱所・移送取扱所など。移動タンク貯蔵所などは不要甲種または乙種で、実務経験6か月以上消防法13条1項、危政令31条の2
危険物施設保安員指定数量の倍数が100以上の製造所・一般取扱所、移送取扱所資格の定めなし消防法14条、危政令36条
予防規程(認可)危政令7条の3の製造所等と給油取扱所火災予防のための規程を定め、従業者も守る消防法14条の2、危政令37条

危険物保安統括管理者・危険物施設保安員の対象からは、ボイラー等で危険物を消費する一般取扱所や、容器に詰め替える一般取扱所などが除かれます(危規則47条の4、60条)。予防規程の対象からは、自家用の給油取扱所(屋内給油取扱所を除く)などが除かれ(危規則61条)、一般取扱所のうち引火点40度以上の第4類だけを容器に詰め替える倍数30以下のものも除かれます(危政令7条の3第6号)。危険物保安監督者が不要な施設は危政令31条の2に列挙されています(引火点40度以上の第4類だけを扱う一定の施設、移動タンク貯蔵所、指定数量の倍数が30以下の屋外貯蔵所など)。

危険物取扱者のうち、製造所等で取扱作業に従事している人は、定期的に保安講習を受けます(消防法13条の23)。受講の時期は数字で覚える保安の規定にまとめました。違反があったときの許可の取消しや使用停止命令(消防法12条の2)も、「誰が」「どの違反で」の組み合わせで問われます。

全体像をつかんだら、項目ごとに問題を解いて、取り違えやすい点を確かめましょう。進み具合は学習状況で確認できます。

製造所等の区分と、屋外貯蔵所に置ける危険物を問題で確かめましょう。間違えた問題は復習リストに入ります。

「製造所等の区分」の10問を解く

許可・承認・認可・届出の相手と期限は、取り違えやすいところです。許可と届出の問題も解いておきましょう。

「設置・変更の許可と各種の届出」の10問を解く

この記事の項目で、問題を解く

よくある質問

Q.乙4の法令は、第4類以外の危険物も出題されますか。
乙種の試験科目のうち、性質・消火の科目は、すべての類の性質の概論のほかは「受験に係る類」に限られますが、法令の科目は「危険物に関する法令」とだけ定められ、類の限定がありません(危規則55条2項)。第1類〜第6類の区分のように、ほかの類にかかわる規定も範囲に入ると考えて学習してください。
Q.製造所等の設置の許可は、誰から受けますか。
消防本部と消防署を置く市町村ではその市町村長、置かない市町村では都道府県知事から受けます(消防法11条1項)。移送取扱所は、区域によって市町村長・都道府県知事・総務大臣になります。
Q.免状をなくしたときは、どこに申請しますか。
免状の交付または書換えをした都道府県知事に、再交付を申請できます(危政令35条1項)。なくした免状を見つけたら、10日以内に再交付を受けた知事に提出します(同条3項)。
危

まずは、今日の10問から。

乙4なびは、危険物取扱者試験(乙種第4類)の全33項目を、10問ずつ学べる学習アプリです。登録なしで、そのまま試せます。

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参考にした公的な情報

この記事は、法令や公開されている情報をもとに、乙4なびが独自にまとめたものです。試験の最新情報(試験日、時間割、合格基準、法令の基準日など)は、実施団体である一般財団法人 消防試験研究センターの受験案内で、必ずご確認ください。運営者・編集方針は乙4なびについてをご覧ください。