危険物乙4の法令を数字で覚える|保安距離・保有空地・点検・講習・届出の期限
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乙4の法令では、距離・幅・年数・日数などの数字が、そのまま正誤の分かれ目になります。この記事では、保安距離、保有空地、定期点検、保安講習、免状と届出の期限を、条文で確かめた表に整理します。数字だけを丸暗記するのではなく、「どの施設に」「何を基準に」かかる数字かをあわせて押さえるのがねらいです。法令全体の地図は[法令の全体像の記事](/guide/law-overview/)、倍数の計算は[指定数量の記事](/guide/designated-quantity/)で扱います。
この記事の要点
- 保安距離は、住居10m以上、学校・病院など30m以上、重要文化財など50m以上、高圧ガス施設20m以上で、製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所に必要です(危政令9条1項1号ほか)。
- 定期点検は1年に1回以上行い、点検記録は原則3年間保存します(危規則62条の4、62条の8)。危険物取扱者(丙種を含む)または危険物施設保安員が行い、危険物取扱者が立ち会えば、それ以外の者も行えます。
- 保安講習は、取扱作業に従事することとなった日から1年以内に受け、その後は受講日以後の最初の4月1日から3年以内ごとに受けます(危規則58条の14)。
保安距離:守る相手ごとに距離が決まる
保安距離は、製造所等の外壁(またはこれに相当する工作物の外側)から、周りの住宅や学校などまでに保つ距離です。火災や爆発が起きたときに、周囲への影響を小さくするためのものです。保安距離が必要なのは、製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所の5つです(危政令9条1項1号、10条1項1号、11条1項1号、16条1項1号、19条1項)。給油取扱所や販売取扱所、地下タンク貯蔵所などには、この規定がありません。
| 守る相手(建築物等) | 距離 | 条文 |
|---|---|---|
| 住居(製造所等と同じ敷地内のものを除く) | 10m以上 | 危政令9条1項1号イ |
| 学校・病院・劇場など多数の人を収容する施設 | 30m以上 | 危政令9条1項1号ロ、危規則11条 |
| 重要文化財・重要有形民俗文化財・史跡などの建造物 | 50m以上 | 危政令9条1項1号ハ |
| 高圧ガスなどを貯蔵・取り扱う一定の施設 | 20m以上 | 危政令9条1項1号ニ、危規則12条2項 |
| 使用電圧7,000Vを超え35,000V以下の特別高圧架空電線 | 水平距離3m以上 | 危政令9条1項1号ホ |
| 使用電圧35,000Vを超える特別高圧架空電線 | 水平距離5m以上 | 危政令9条1項1号ヘ |
住居・学校等・文化財については、不燃材料で造った防火上有効な塀を設けることなどにより、市町村長等が安全と認めた場合は、市町村長等が定めた距離にできます(危政令9条1項1号ただし書)。
学校等の範囲は危規則11条に列挙されています。幼稚園・小学校・中学校・高等学校などの学校と病院は人数を問わず、劇場・映画館・公会堂などは300人以上、児童福祉施設や老人福祉施設などは20人以上を収容できるものが対象です。大学は列挙されていない点も、条文で確かめておきましょう。
保有空地:施設と指定数量の倍数で幅が変わる
保有空地は、消火活動や延焼防止のために、危険物を扱う建築物などの周囲に確保する空き地です。幅は、施設の種類と指定数量の倍数で決まります。
| 施設 | 倍数の区分 | 空地の幅 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 製造所・一般取扱所 | 10以下 | 3m以上 | 危政令9条1項2号、19条1項 |
| 製造所・一般取扱所 | 10を超える | 5m以上 | 同上 |
| 屋外貯蔵所 | 10以下 | 3m以上 | 危政令16条1項4号 |
| 屋外貯蔵所 | 10を超え20以下 | 6m以上 | 同上 |
| 屋外貯蔵所 | 20を超え50以下 | 10m以上 | 同上 |
| 屋外貯蔵所 | 50を超え200以下 | 20m以上 | 同上 |
| 屋外貯蔵所 | 200を超える | 30m以上 | 同上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 500以下 | 3m以上 | 危政令11条1項2号 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 500を超え1,000以下 | 5m以上 | 同上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 1,000を超え2,000以下 | 9m以上 | 同上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 2,000を超え3,000以下 | 12m以上 | 同上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 3,000を超え4,000以下 | 15m以上 | 同上 |
| 屋外タンク貯蔵所 | 4,000を超える | タンクの最大直径(横型は横の長さ)と高さの大きい方以上。ただし15m未満にはできない | 同上 |
| 簡易タンク貯蔵所(屋外に設置) | — | タンクの周囲に1m以上 | 危政令14条4号 |
| 屋内貯蔵所の倍数 | 壁・柱・床が耐火構造 | それ以外 |
|---|---|---|
| 5以下 | 幅の定めなし(条文の表で空欄) | 0.5m以上 |
| 5を超え10以下 | 1m以上 | 1.5m以上 |
| 10を超え20以下 | 2m以上 | 3m以上 |
| 20を超え50以下 | 3m以上 | 5m以上 |
| 50を超え200以下 | 5m以上 | 10m以上 |
| 200を超える | 10m以上 | 15m以上 |
危政令10条1項2号。保有空地には、防火上有効な措置を講じた場合などに幅を減らせる特例があります(各条のただし書)。試験対策では、まず表の原則の数字を押さえてください。
定期点検:1年に1回以上と、記録の保存期間
政令で定める製造所等は、定期に点検し、点検記録を作成・保存しなければなりません(消防法14条の3の2)。対象は、危政令7条の3の製造所等(指定数量の倍数が10以上の製造所、150以上の屋内貯蔵所、200以上の屋外タンク貯蔵所、100以上の屋外貯蔵所、移送取扱所、10以上の一般取扱所など)と、地下タンクを有する製造所・給油取扱所・一般取扱所、地下タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所です(危政令8条の5)。一部の移送取扱所や、総務省令で定めるものは除かれます。
| 項目 | 数字・内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 点検の頻度 | 1年(告示で定める構造・設備は告示の期間)に1回以上 | 危規則62条の4第1項 |
| 点検を行う者 | 危険物取扱者または危険物施設保安員。危険物取扱者の立会いがあれば、それ以外の者も行える | 危規則62条の6 |
| 点検記録の記載事項 | 製造所等の名称、点検の方法と結果、点検年月日、点検をした危険物取扱者・危険物施設保安員(または点検に立ち会った危険物取扱者)の氏名 | 危規則62条の7 |
| 点検記録の保存(原則) | 3年間 | 危規則62条の8第5号 |
| 移動貯蔵タンクの漏れの点検 | 5年を経過する日の属する月の末日までに1回以上。記録は10年間保存 | 危規則62条の5の4、62条の8第4号 |
| 地下貯蔵タンクの漏れの点検 | 原則1年(完成検査から15年を超えないものなどは3年)。記録は3年間保存 | 危規則62条の5の2第2項、62条の8第2号 |
| 屋外貯蔵タンクの内部点検(引火点を有する液体の危険物の、容量1,000kL以上10,000kL未満のもの) | 13年(一定の措置を講じて届け出た場合は15年)を超えない日までに1回以上。記録は26年間(15年の場合は30年間)保存 | 危規則62条の5第1項、62条の8第1号 |
漏れの点検は、点検の方法に関する知識・技能を持つ者が行います(危規則62条の6)。
保安講習:受講の時期は「1年以内」と「4月1日から3年以内」
製造所等で危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者は、都道府県知事などが行う保安講習を受けなければなりません(消防法13条の23)。免状を持っていても、取扱作業に従事していない人は受講の義務がありません。危険物保安監督者などの役職の有無は関係なく、従事しているかどうかで決まります。
| 場面 | 受講の期限 | 条文 |
|---|---|---|
| 取扱作業に従事することになった(原則) | 従事することとなった日から1年以内 | 危規則58条の14第1項本文 |
| 従事することとなった日の前2年以内に、免状の交付か講習を受けている | その交付日または受講日以後の最初の4月1日から3年以内 | 危規則58条の14第1項ただし書 |
| 講習を受けた後、引き続き従事する | 受講日以後の最初の4月1日から3年以内ごと | 危規則58条の14第2項 |
自作の例で確かめます。2026年11月に講習を受けた人が、その後も取扱作業に従事し続けるなら、受講日以後の最初の4月1日は2027年4月1日なので、次の講習は2030年3月31日までに受けます。期限の起算点が「受講日」ではなく「受講日以後の最初の4月1日」である点がポイントです。
免状・届出・承認の期限と年数
| 数字 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 10日以内 | 仮貯蔵・仮取扱いができる期間(所轄消防長又は消防署長の承認) | 消防法10条1項ただし書 |
| 10日前まで | 危険物の品名・数量・指定数量の倍数の変更の届出 | 消防法11条の4第1項 |
| 遅滞なく | 譲渡・引渡しによる地位の承継、用途の廃止、危険物保安統括管理者・危険物保安監督者の選任と解任の届出 | 消防法11条6項、12条の6、12条の7第2項、13条2項 |
| 10日以内 | 亡失した完成検査済証を見つけたとき、再交付をした市町村長等に提出 | 危政令8条6項 |
| 遅滞なく | 免状の記載事項に変更が生じたときの書換えの申請 | 危政令34条 |
| 10年 | 免状の写真は、過去10年以内に撮影したものが記載事項 | 危規則51条2項 |
| 10日以内 | 亡失した免状を見つけたとき、再交付を受けた都道府県知事に提出 | 危政令35条3項 |
| 1年 | 免状の返納を命じられ、その日から1年を経過しない者には、免状を交付しないことができる | 消防法13条の2第4項1号 |
| 2年 | 消防法令に違反して罰金以上の刑に処せられ、執行を終わるなどした日から2年を経過しない者には、免状を交付しないことができる | 消防法13条の2第4項2号 |
| 6か月以上 | 危険物保安監督者になるための実務経験(甲種または乙種) | 消防法13条1項 |
| 2年以上 | 乙種の免状を受けた後の実務経験で、甲種の受験資格になる | 消防法13条の3第4項2号 |
施設の容量と倍数の境目
| 数字 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 600L以下 | 簡易貯蔵タンクの容量。1つの簡易タンク貯蔵所に3基以内、同じ品質の危険物のタンクは2基以上置けない | 危政令14条2号・5号 |
| 15以下/15超40以下 | 第1種販売取扱所/第2種販売取扱所(指定数量の倍数) | 危政令3条2号 |
| 10以上 | 製造所に避雷設備(周囲の状況により安全上支障がない場合を除く) | 危政令9条1項19号 |
| 100以上 | 危険物施設保安員を定める製造所・一般取扱所(移送取扱所も対象) | 危政令36条 |
| 3,000倍以上 | 第4類を取り扱う製造所・一般取扱所などで、危険物保安統括管理者と自衛消防組織が必要になる数量 | 危政令30条の3第2項、38条 |
| 1以上 | 2つ以上の危険物を運搬するとき、倍数の和が1以上なら指定数量以上の運搬とみなす(車両に標識・消火設備) | 危政令30条 |
どれも、総務省令で定めるものを除くなどの例外があります。
数字は、似た数字どうしを並べて覚えると混ざりにくくなります。たとえば「10」は、仮貯蔵の10日以内、品名変更の届出の10日前、亡失した免状の提出の10日以内、写真の10年、避雷設備の10倍と、さまざまな場面で出てきます。何の10なのかを言えるようにしておきましょう。数字の問題は、試験の直前にまとめて解き直すのも一つの方法です。進め方は学習スケジュールの記事で紹介しています。
保安距離と保有空地は、施設名と数字の組み合わせで問われます。問題で確かめましょう。間違えた問題は復習リストに入ります。
保安講習の時期と定期点検の決まりも、数字の取り違えが起きやすいところです。あわせて解いておきましょう。
この記事の項目で、問題を解く
よくある質問
- Q.給油取扱所に保安距離は必要ですか。
- 必要ありません。保安距離の規定があるのは、製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所です(危政令9条1項1号、10条・11条・16条の各1項1号、19条1項)。
- Q.免状を持っていれば、全員が保安講習を受けなければなりませんか。
- いいえ。受講の義務があるのは、製造所等で危険物の取扱作業に従事している危険物取扱者です(消防法13条の23)。従事していない人には義務がありません。
- Q.定期点検の記録は、何年間保存しますか。
- 原則は3年間です(危規則62条の8第5号)。移動貯蔵タンクの漏れの点検の記録は10年間、屋外貯蔵タンクの内部点検の記録は26年間(または30年間)など、点検の種類によって違います。
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参考にした公的な情報
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