危険物乙4の指定数量と倍数の計算|第4類の品名別の表と例題で手順を確認
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指定数量は、危険物の規制がかかるかどうかを分ける基準の量です。乙4の法令では、第4類の品名ごとの指定数量と、複数の危険物を同じ場所に置くときの「倍数」の計算が問われます。この記事では、指定数量が法令のどこで使われるかを確かめたうえで、第4類の指定数量の表、水溶性・非水溶性の見分け方、倍数の計算の手順を自作の例題で整理します。最後に、指定数量未満の危険物と、仮貯蔵・仮取扱いの扱いをまとめます。
この記事の要点
- 第4類の指定数量は、特殊引火物50L、第1石油類200L(水溶性400L)、アルコール類400L、第2石油類1,000L(水溶性2,000L)、第3石油類2,000L(水溶性4,000L)、第4石油類6,000L、動植物油類10,000Lです(危政令別表第三)。
- 2つ以上の危険物を同じ場所に置くときは、それぞれの数量を指定数量で割った商の和(指定数量の倍数)を求め、1以上なら指定数量以上とみなします(消防法10条2項)。
- 指定数量未満の貯蔵・取扱いの基準は市町村条例で定めます(消防法9条の4)。指定数量以上を製造所等以外で一時的に扱うときは、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて10日以内に限り仮貯蔵・仮取扱いができます(消防法10条1項ただし書)。
指定数量とは:規制の「入口」になる量
指定数量は、危険物の危険性を勘案して政令で定める数量です(消防法9条の4第1項)。具体的な量は、危険物の規制に関する政令(以下「危政令」)の別表第三に、類・品名・性質ごとに定められています(危政令1条の11)。第4類では、引火の危険が大きい品名ほど、指定数量が小さくなっています。
| 量 | 扱い | 条文 |
|---|---|---|
| 指定数量以上 | 製造所・貯蔵所・取扱所(製造所等)以外の場所では、貯蔵・取扱いができない。製造所等の設置には許可が必要 | 消防法10条1項、11条1項 |
| 指定数量未満 | 貯蔵・取扱いの技術上の基準は、市町村条例で定める | 消防法9条の4 |
| 指定数量以上を一時的に | 所轄消防長又は消防署長の承認を受ければ、10日以内に限り、製造所等以外の場所で仮に貯蔵・取扱いができる | 消防法10条1項ただし書 |
指定数量の「倍数」は、規制の入口だけでなく、製造所等の中での規制の重さを決める物差しにもなります。保有空地の幅、販売取扱所の区分、予防規程や危険物施設保安員が必要かどうかなどが、倍数で変わります(最後の表で整理します)。
第4類の指定数量の表と、水溶性・非水溶性
第4類の指定数量は、リットルで定められています(他の類はキログラム)。第1石油類・第2石油類・第3石油類は、水溶性液体か非水溶性液体かで指定数量が2倍違います。
| 品名 | 性質 | 指定数量 | 主な物品(例) |
|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | — | 50リットル | ジエチルエーテル、二硫化炭素 |
| 第1石油類 | 非水溶性液体 | 200リットル | ガソリン |
| 第1石油類 | 水溶性液体 | 400リットル | アセトン |
| アルコール類 | — | 400リットル | メタノール、エタノール |
| 第2石油類 | 非水溶性液体 | 1,000リットル | 灯油、軽油 |
| 第2石油類 | 水溶性液体 | 2,000リットル | — |
| 第3石油類 | 非水溶性液体 | 2,000リットル | 重油、クレオソート油 |
| 第3石油類 | 水溶性液体 | 4,000リットル | — |
| 第4石油類 | — | 6,000リットル | ギヤー油、シリンダー油 |
| 動植物油類 | — | 10,000リットル | — |
危政令別表第三。物品の例は、消防法別表第一の備考に例示されているものと、品名の定義(アルコール類は炭素の数が1〜3個の飽和一価アルコール)に当たるものです。動植物油類のうち、総務省令で定めるところにより貯蔵保管されているものは、そもそも危険物から除かれます(消防法別表第一の備考17号)。個々の物品の水溶性は第4類の性質の記事で扱います。
表を眺めると、規則性があります。品名が「特殊引火物→第1石油類→第2石油類→…」と引火点の高い方へ進むほど指定数量は大きくなり、同じ品名なら水溶性は非水溶性の2倍です。アルコール類は、第1石油類の水溶性と同じ400リットルです。数字は、50・200・400・1,000・2,000・4,000・6,000・10,000の8種類だけです。
水溶性液体の定義
水溶性液体とは、1気圧・20度で同じ容量の純水と緩やかにかき混ぜたとき、流動がおさまった後も混合液が均一な外観を維持するものです。非水溶性液体は、水溶性液体以外のものです(危政令別表第三の備考9号・10号)。「少しでも溶ければ水溶性」ではない点に注意してください。
倍数の計算の手順と例題
品名または指定数量の違う2つ以上の危険物を同じ場所で貯蔵・取り扱うときは、それぞれの数量を指定数量で割り、その商の和を求めます。和が1以上なら、指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱っているものとみなされます(消防法10条2項)。この値を「指定数量の倍数」といいます(消防法11条の4第1項)。
- 物品ごとに、品名(と、第1〜第3石油類なら水溶性か非水溶性か)を決める。
- 表から、それぞれの指定数量を選ぶ。
- 物品ごとに「貯蔵・取り扱う数量÷指定数量」を計算する。
- 商をすべて足す。和が1以上なら指定数量以上、1未満なら指定数量未満。
同じ品名で同じ指定数量のもの(たとえば灯油と軽油はどちらも第2石油類の非水溶性)は、数量を合計してから割っても、別々に割って足しても結果は同じです。
数量が「18リットル入りの容器が20個」のように容器の数で示されたときは、先に合計のリットル(18×20=360リットル)に直してから割ります。単位をそろえてから計算する習慣をつけると、桁の取り違えを防げます。
例題1:3種類を同じ場所に置く
ガソリン100リットル、灯油500リットル、重油1,000リットルを同じ場所で貯蔵します。指定数量の倍数はいくつですか。
| 物品 | 品名・性質 | 指定数量 | 数量÷指定数量 |
|---|---|---|---|
| ガソリン 100L | 第1石油類・非水溶性 | 200L | 0.5 |
| 灯油 500L | 第2石油類・非水溶性 | 1,000L | 0.5 |
| 重油 1,000L | 第3石油類・非水溶性 | 2,000L | 0.5 |
| 合計 | 1.5 |
答え:1.5。どれも単独では指定数量未満ですが、和が1以上なので、指定数量以上の危険物の貯蔵とみなされます。製造所等(この場合は貯蔵所)でなければ貯蔵できません。
例題2:合計すると指定数量未満になる場合
エタノール100リットル、軽油300リットル、シリンダー油1,200リットルを同じ場所で貯蔵します。
| 物品 | 品名・性質 | 指定数量 | 数量÷指定数量 |
|---|---|---|---|
| エタノール 100L | アルコール類 | 400L | 0.25 |
| 軽油 300L | 第2石油類・非水溶性 | 1,000L | 0.3 |
| シリンダー油 1,200L | 第4石油類 | 6,000L | 0.2 |
| 合計 | 0.75 |
答え:0.75。和が1未満なので指定数量未満です。製造所等の許可は要りませんが、市町村条例の基準に従います(消防法9条の4)。
例題3:あと何リットルまで置けるかを逆算する
ジエチルエーテル10リットルと灯油400リットルを貯蔵している場所に、重油を追加します。指定数量未満にとどめるには、重油は何リットル未満にすればよいですか。
- ジエチルエーテル(特殊引火物、50L):10÷50=0.2
- 灯油(第2石油類・非水溶性、1,000L):400÷1,000=0.4
- すでに0.6なので、重油に使える残りは1−0.6=0.4
- 重油(第3石油類・非水溶性、2,000L):2,000×0.4=800リットル
答え:800リットル未満。ちょうど800リットルにすると和が1.0になり、「1以上」に当たるので指定数量以上とみなされます。境目の「以上」「未満」は、計算問題でも必ず確かめてください。
指定数量未満の危険物と、仮貯蔵・仮取扱い
指定数量未満の危険物でも、規制がまったくないわけではありません。貯蔵・取扱いの技術上の基準や、その場所の位置・構造・設備の基準は、市町村条例で定めます(消防法9条の4)。基準の具体的な中身は、市町村ごとの条例で決まります。
一方、危険物の運搬の基準(容器・積載方法・運搬方法)は、量にかかわらず政令の基準に従います(消防法16条)。指定数量以上を車両で運搬するときは、標識を掲げ、適応する消火設備を備えるなどの基準が加わります(危政令30条1項2号〜4号)。運搬の場合も、2つ以上の危険物の倍数の和が1以上なら、指定数量以上を運搬しているものとみなされます(危政令30条2項)。
仮貯蔵・仮取扱い
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 指定数量以上の危険物 |
| 場所 | 製造所等以外の場所 |
| 期間 | 10日以内 |
| 手続 | 所轄消防長又は消防署長の承認(市町村長等の許可ではない) |
| 条文 | 消防法10条1項ただし書 |
仮貯蔵・仮取扱いは「承認」で、相手が消防長・消防署長である点が、製造所等の設置の「許可」(市町村長等)との違いです。製造所等の変更工事中に、工事と関係のない部分を使う「仮使用」は、市町村長等の承認です(消防法11条5項ただし書)。名前が似ているので、相手とあわせて覚えてください。
倍数で変わる規制の早見表
倍数を計算できるようになると、製造所等の規制の問題も解きやすくなります。代表的な境目を挙げます。
| 倍数 | 規制 | 条文 |
|---|---|---|
| 1以上 | 指定数量以上とみなす(製造所等でなければ貯蔵・取扱いができない) | 消防法10条2項 |
| 15以下/15を超え40以下 | 第1種販売取扱所/第2種販売取扱所 | 危政令3条2号 |
| 10以下/10を超える | 製造所の保有空地が3m以上/5m以上 | 危政令9条1項2号 |
| 10以上 | 製造所の避雷設備(周囲の状況によって安全上支障がない場合を除く) | 危政令9条1項19号 |
| 30以下 | 引火点40度以上の第4類だけを扱う屋内貯蔵所・地下タンク貯蔵所などは、危険物保安監督者が不要 | 危政令31条の2第1号など |
| 100以上 | 製造所・一般取扱所に危険物施設保安員 | 危政令36条 |
| 製造所10・屋内貯蔵所150・屋外タンク貯蔵所200・屋外貯蔵所100・一般取扱所10(いずれも以上) | 予防規程と定期点検が必要な製造所等に当たる(予防規程は給油取扱所・移送取扱所も、定期点検は移送取扱所・地下タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・地下タンクを有する製造所等も、倍数にかかわらず対象) | 危政令7条の3、8条の5、37条 |
いずれも、総務省令で定めるものを除くなどの例外があります。たとえば、一般取扱所のうち引火点40度以上の第4類だけを容器に詰め替える倍数30以下のものは、予防規程・定期点検の倍数の対象から除かれ(危政令7条の3第6号)、配管が長いなど一定の移送取扱所は定期点検の対象から除かれます(危政令8条の5、8条の3)。保有空地や点検の詳しい数字は、数字で覚える保安の規定にまとめました。
製造所等で、位置・構造・設備を変えずに危険物の品名・数量・指定数量の倍数を変えるときは、変更しようとする日の10日前までに市町村長等に届け出ます(消防法11条の4第1項)。倍数は、計算問題だけでなく手続の問題にも出てくる言葉です。法令全体の地図は法令の全体像の記事で確認できます。
指定数量の表と倍数の計算は、手を動かすほど速く正確になります。計算の問題を解いて、境目の判断まで確かめましょう。
この記事の項目で、問題を解く
よくある質問
- Q.ガソリン200リットルを置くと、指定数量以上になりますか。
- なります。ガソリンは第1石油類の非水溶性液体で、指定数量は200リットルです。倍数がちょうど1.0で「1以上」に当たるので、製造所等でなければ貯蔵できません。
- Q.倍数の和がちょうど1のときは、どう扱いますか。
- 指定数量以上として扱います。消防法10条2項は、商の和が「1以上となるとき」に指定数量以上とみなすと定めています。
- Q.仮貯蔵と仮使用は、何が違いますか。
- 仮貯蔵・仮取扱いは、指定数量以上の危険物を製造所等以外の場所で10日以内に限って扱うもので、所轄消防長又は消防署長の承認を受けます。仮使用は、製造所等の変更工事中に工事と関係のない部分を使うもので、市町村長等の承認を受けます。
まずは、今日の10問から。
乙4なびは、危険物取扱者試験(乙種第4類)の全33項目を、10問ずつ学べる学習アプリです。登録なしで、そのまま試せます。
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参考にした公的な情報
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