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貸金業務取扱主任者試験の保護・会計対策|個人情報保護法から企業会計原則まで

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「資金需要者等の保護」と「財務及び会計」は、合わせても出題数は10問以内の小さな科目です。そのぶん範囲が限られ、用語の定義や原則の言い回しを押さえれば、点を積み上げやすい科目でもあります。この記事では、個人情報保護法・金融分野ガイドライン・消費者契約法・景品表示法・日本貸金業協会の仕組み、そして企業会計原則と財務諸表について、試験で迷いやすい点にしぼって整理します。

この記事の要点

  • 資金需要者等の保護は4〜6問、財務及び会計は2〜4問が出題の目安です(令和7年度は5問と3問)。範囲が狭く、定義と原則を正確に覚えれば点にしやすい科目です。
  • 個人情報保護法は「個人情報・個人データ・保有個人データ」の違いと第三者提供の原則・例外が軸です。金融分野ガイドラインでは、同意は原則書面、機微(センシティブ)情報はオプトアウト不可などの上乗せがあります。
  • 会計は、企業会計原則の一般原則7つの名前と中身、貸借対照表・損益計算書の区分と利益の段階を押さえます。

8問前後を「取りこぼさない」科目として扱う

出題数の目安は、資金需要者等の保護が 4〜6問、財務及び会計が 2〜4問 です。令和7年度は、それぞれ5問と3問でした。法令や民法に比べると小さな科目ですが、合わせて8問前後あります。合格基準点が試験ごとに決まる試験では、この8問を確実に取れるかどうかが、合否を分けることも十分にありえます。

この2科目は、法令の科目に比べて論点の数が少なく、定義と原則を正確に覚えているか を問う形になりやすい傾向があります。勉強時間は、全体の1割強を目安にすると、ほかの科目とのつり合いが取りやすくなります(貸金なびの目安で、公式のものではありません)。逆に、ここを後回しにして試験直前に手付かずのまま、という状態だけは避けてください。

個人情報保護法:3つの言葉の違いから押さえる

個人情報保護法は、保護の科目の中心です。最初につまずきやすいのが、「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」の違いです。この3つは、内側に行くほど範囲が狭くなり、そのぶん事業者の義務が増える、という関係にあります。

用語意味(要約)主にかかる義務の例条文
個人情報生存する個人に関する情報で、氏名・生年月日などで特定の個人を識別できるもの(ほかの情報と容易に照合して識別できるものを含む)、または個人識別符号が含まれるもの利用目的の特定、目的外利用の制限、適正な取得、取得時の利用目的の通知等2条1項
個人データ個人情報データベース等(検索できるように体系的に構成したもの)を構成する個人情報安全管理措置、従業者・委託先の監督、漏えい等の報告、第三者提供の制限16条3項
保有個人データ個人データのうち、事業者が開示・訂正・利用停止などを行う権限を持つもの(政令で除かれるものを除く)本人からの開示・訂正等・利用停止等の請求への対応16条4項

条文はすべて個人情報の保護に関する法律(令和8年4月1日時点)。

要配慮個人情報 は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実など、不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮が必要なものとして定められた情報です(2条3項)。要配慮個人情報は、法令に基づく場合などの例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならない とされています(20条2項)。

第三者提供は「原則同意、例外あり」

個人データを第三者に提供するには、原則として、あらかじめ本人の同意が必要です(27条1項)。ただし、次のような例外があります。

  • 同意がなくても提供できる場合: 法令に基づく場合、人の生命・身体・財産の保護に必要で本人の同意を得ることが困難なとき、国の機関などが法令の定める事務を行うことに協力する必要があり、本人の同意を得るとその事務に支障を及ぼすおそれがあるとき など(27条1項各号)
  • オプトアウト: 本人の求めがあれば提供を停止することとし、必要な事項をあらかじめ本人に通知するか本人が容易に知り得る状態に置いたうえで、個人情報保護委員会に届け出る方法(27条2項)。ただし、要配慮個人情報はオプトアウトでは提供できません(同項ただし書)
  • そもそも「第三者」に当たらない場合: 利用目的の達成に必要な範囲内での委託、合併などによる事業の承継、一定の事項を通知等したうえでの共同利用(27条5項)

このほか、個人データの漏えい等のうち、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして規則で定める事態が生じたときは、個人情報保護委員会への報告 と 本人への通知 が必要です(26条1項・2項)。本人は、保有個人データの開示を請求でき(33条1項)、事業者は、本人の権利利益を害するおそれがある場合などを除き、遅滞なく開示しなければなりません(同条2項)。

金融分野ガイドラインの「上乗せ」を押さえる

貸金業者のような金融分野の事業者には、個人情報保護委員会と金融庁が定めた「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」(令和6年3月の版)が適用されます。法律より一段厳しい扱いを求める部分があり、そこが問われやすいところです。主な上乗せは次のとおりです。

論点個人情報保護法金融分野ガイドライン
本人の同意の形式条文では、同意を書面で得ることまでは定めていない目的外利用・第三者提供などの同意は、原則として書面(電磁的記録を含む)による(3条)
取得時の利用目的の「通知」条文では、通知の方法を定めていない通知は、原則として書面 による(6条1項)
センシティブな情報要配慮個人情報(取得に原則同意が必要)要配慮個人情報に加え、労働組合への加盟・門地・本籍地・保健医療・性生活に関する情報も「機微(センシティブ)情報」とし、列挙された場合を除き、取得・利用・第三者提供を行わない(5条1項)
オプトアウト要配慮個人情報は不可機微(センシティブ)情報全体について、オプトアウトを適用しない(5条4項)

真ん中の欄は、法律の条文の書き方を要約したものです。右の欄の条番号は、個人情報保護委員会・金融庁「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」(令和6年3月)によります。

機微(センシティブ)情報を例外的に扱える場合として、ガイドラインは、法令等に基づく場合、相続手続による権利義務の移転等に必要な限りの場合、源泉徴収事務等に必要な範囲で従業員等の労働組合への加盟などの情報を扱う場合、本人の同意に基づき業務遂行上必要な範囲で 扱う場合などを挙げています(5条1項)。「本人の同意さえあれば、必要性にかかわらず取得できる」という形のひっかけに注意してください。

なお、ガイドラインには「〜こととする」「〜しなければならない」と書かれた部分と、「〜望ましい」と書かれた部分があります。たとえば同意書面で個人情報の条項を他と区別したり、確認欄を設けたりすることは「望ましい」とされています(3条)。この強さの違いも、選択肢の作り方としてよく使われます。

消費者契約法と景品表示法の要点

消費者契約法:取り消せる場合と、無効になる条項

消費者契約法は、消費者(事業として又は事業のために契約する場合を除く個人)と事業者との契約に適用されます(2条)。勧誘の際の事業者の行為によって消費者が誤認・困惑して契約した場合に、取り消せる ことと、消費者に一方的に不利な 条項を無効にする ことが二本柱です。

区分代表例条文
誤認による取消し重要事項について事実と異なることを告げる(不実告知)、将来の変動が不確実な事項について断定的判断を提供する、利益となる旨を告げて不利益な事実を故意・重大な過失で告げない4条1項・2項
困惑による取消し住居などから退去すべき旨を示したのに退去しない(不退去)、勧誘の場所から帰ろうとする消費者を退去させない(退去妨害) など4条3項
過量な契約の取消し通常の分量等を著しく超えることを知りながら勧誘して契約させる4条4項
無効な条項事業者の損害賠償責任の全部を免除する条項、消費者の解除権を放棄させる条項、解除に伴う違約金などのうち平均的な損害の額を超える部分、消費者の利益を一方的に害する条項8条・8条の2・9条・10条

取消権は、追認をすることができる時から1年間 行わないとき、または 契約の締結の時から5年 を経過したときに消滅します(7条1項。霊感等による勧誘の取消権は3年間・10年)。また、この取消しは、善意でかつ過失がない第三者には対抗できません(4条6項)。

景品表示法:不当な表示の3つの型

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、不当な景品類と表示による顧客の誘引を防ぎ、一般消費者の利益を保護することを目的とする法律です(1条)。不当な表示は、次の3つに分かれます(5条)。

  • 優良誤認表示: 商品・役務の品質や内容を、実際や他社のものより著しく優良と示す表示(5条1号)
  • 有利誤認表示: 価格などの取引条件を、実際や他社のものより著しく有利と誤認される表示(5条2号)
  • 内閣総理大臣が指定する表示: そのほか誤認されるおそれのある表示として告示で指定されたもの(5条3号)。貸付けに関係するものとして「消費者信用の融資費用に関する不当な表示」(昭和55年公正取引委員会告示第13号)があり、アドオン方式や月利などで融資費用を示しながら、実質年率を明りょうに記載しない表示などが対象です

違反に対しては、内閣総理大臣(権限は消費者庁長官に委任。38条1項)が差止めなどを命じる 措置命令(7条1項)や、優良誤認・有利誤認について原則として売上額の3%の 課徴金納付命令(8条1項。指定告示による表示は課徴金の対象外)があります。貸金業法そのものの広告規制(誇大広告の禁止など)とは別の法律なので、混同しないようにしてください。貸金業法の広告規制は貸金業法の攻略で扱います。

日本貸金業協会の自主規制と、紛争解決の仕組み

貸金業法上の貸金業協会は、資金需要者等の利益の保護を図り、貸金業の適正な運営に資することを目的とする法人です(貸金業法25条1項・2項)。日本貸金業協会は、協会員が守るべきルールとして「貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則」を定めています。中身は、広告・勧誘のあり方、過剰貸付けの防止、苦情への対応など、貸金業法の規制を実務の水準で具体化したものです。

紛争解決については、まず貸金業法の枠組みを押さえます。貸金業者は、指定紛争解決機関(内閣総理大臣の指定を受けた機関)があるときは、その1つと 手続実施基本契約 を結ぶ措置をとり、相手方の名称を公表しなければなりません(貸金業法12条の2の2第1項・2項)。協会の公式サイトによると、貸金業界の指定紛争解決機関は日本貸金業協会だけで、「貸金業相談・紛争解決センター」で相談・苦情処理・紛争解決の業務を行っています。指定紛争解決機関の指定の要件などは、貸金業法41条の39以下に定められています。手続実施基本契約には、次のような内容を含めることとされています(貸金業法41条の44第2項)。

  • 苦情処理手続、または資金需要者等の申立てによる紛争解決手続が始まり、手続に応じるよう求められたときは、加入貸金業者は正当な理由なく拒んではならない(2号)
  • 紛争解決委員は、和解案を作成して受諾を勧告できる。それで和解が成立する見込みがなく、相当と認めるときは、特別調停案 を作成し、理由を付けて提示できる(4号・5号)
  • 加入貸金業者は、資金需要者等に、紛争解決等業務の実施について周知するための措置を講じる(10号)

財務・会計:家計、企業会計原則、財務諸表

家計の収支と所得の書類

財務及び会計では、個人の家計の見方も問われます。総務省統計局の家計調査の用語では、次の関係を押さえておけば、計算問題にも対応できます。

用語意味
実収入世帯の収入のうち、いわゆる税込みの収入
非消費支出税金や社会保険料など
可処分所得実収入から非消費支出を差し引いた額(いわゆる手取り)
黒字可処分所得から消費支出を差し引いた額(実収入と実支出の差と同じ)
平均消費性向消費支出を可処分所得で割った割合

総務省統計局「家計調査 用語の解説」による。

所得の書類では、給与の支払者が作る 源泉徴収票 が基本です。支払者は、源泉徴収票を2通作成し、原則としてその年の翌年1月31日まで(年の途中で退職した人は退職の日以後1か月以内)に、1通を税務署長に提出し、1通を本人に交付します(所得税法226条1項)。貸金業法の返済能力の調査で求める「資力を明らかにする書面」には、源泉徴収票のほか、給与の支払明細書、確定申告書、納税証明書、所得証明書、年金証書などが挙げられています(貸金業法施行規則10条の17第1項)。

企業会計原則の一般原則7つ

企業会計原則は、企業会計の基本的な考え方をまとめた基準です。冒頭の「一般原則」の7つは、名前と中身を正確に結び付けておきたいところです。

原則中身(要約)
真実性の原則企業の財政状態と経営成績について、真実な報告を提供する
正規の簿記の原則すべての取引について、正規の簿記の原則に従って正確な会計帳簿を作る
資本取引・損益取引区分の原則資本取引と損益取引を明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金を混同しない
明瞭性の原則財務諸表で必要な会計事実を明瞭に表示し、利害関係者の判断を誤らせない
継続性の原則処理の原則・手続を毎期継続して適用し、みだりに変更しない
保守主義(安全性)の原則財政に不利な影響を及ぼす可能性があれば、これに備えて適当に健全な会計処理をする
単一性の原則目的に応じて形式の異なる財務諸表を作る場合も、内容は信頼できる会計記録に基づき、事実の真実な表示をゆがめない

企業会計原則「第一 一般原則」の内容を要約したものです。

ひっかけの典型は、名前と中身の入れ替え です。たとえば「不利な影響に備えて健全な処理をする」のは継続性ではなく保守主義、「異なる形式の財務諸表を作ること自体を禁止する」のは単一性の原則の内容ではありません。

財務諸表の役割

書類何がわかるか押さえどころ
貸借対照表決算日時点の財政状態(何を持ち、何を負っているか)資産・負債・純資産の3つの部に区分(会社計算規則73条1項)。資産は流動資産・固定資産・繰延資産に区分(同74条1項)
損益計算書一定期間の経営成績(どれだけもうけたか)売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外収益・費用、特別利益・損失に区分(同88条1項)。売上総利益→営業利益→経常利益→税引前当期純利益→当期純利益の順(同89条〜94条)
キャッシュ・フロー計算書一定期間の現金の流れ営業活動・投資活動・財務活動の3つの区分で示す。利益が出ていても現金が足りない、といった状態をつかむ手がかりになる

会社法で株式会社が各事業年度に作る「計算書類」は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表です(会社法435条2項、会社計算規則59条1項)。キャッシュ・フロー計算書はここに含まれていない点に注意してください。計算書類と附属明細書は、作成した時から10年間保存します(会社法435条4項)。

この2科目の進め方

  1. 個人情報保護法の3つの用語と、第三者提供の原則・例外を表で覚える
  2. 金融分野ガイドラインは、法律との「差」(書面同意・機微情報・オプトアウト不適用)だけを先に押さえる
  3. 消費者契約法は、取消しの型と期間(1年・5年)、無効な条項の代表例を覚える
  4. 協会の仕組みは、相談→苦情処理→紛争解決の流れで理解する
  5. 会計は、一般原則7つの名前と中身、損益計算書の利益の段階を、問題で確かめる

いずれも、選択肢の中で 用語や原則の名前を入れ替える ひっかけが多い分野です。個数問題・組合せ問題の解き方は、個数問題・組合せ問題の解き方と直前チェックにまとめています。保証や債権の効力など、民法の側から資金需要者の保護を考える論点は、民法・実務の攻略を参照してください。

まずは「個人情報保護法」の10問で、3つの用語と第三者提供の例外を確かめましょう。各項目10問までと、学習の記録・復習は無料で使えます。

「個人情報保護法」の10問を解く

会計が手薄な方は、「企業会計原則」の10問で、一般原則7つの名前と中身を結び付けておきましょう。

「企業会計原則」の10問を解く

協会の規則や金融分野ガイドラインは改正されることがあります。最新の内容は、日本貸金業協会・個人情報保護委員会・金融庁の公表資料で確認してください。

この記事の項目で、問題を解く

よくある質問

Q.個人データと保有個人データの違いは何ですか。
個人データは、検索できるように体系的に構成した個人情報データベース等を構成する個人情報です(個人情報保護法16条3項)。保有個人データは、そのうち事業者が開示・訂正・利用停止などを行う権限を持つもので、本人からの開示等の請求の対象になります(同条4項)。
Q.要配慮個人情報は、オプトアウトで第三者に提供できますか。
できません。個人情報保護法27条2項ただし書で、要配慮個人情報はオプトアウトの対象から除かれています。さらに金融分野ガイドラインでは、要配慮個人情報を含む機微(センシティブ)情報全体について、オプトアウトを適用しないこととされています。
Q.企業会計原則の一般原則はいくつありますか。
7つです。真実性、正規の簿記、資本取引・損益取引区分、明瞭性、継続性、保守主義(安全性)、単一性の各原則です。名前と中身を入れ替えた選択肢に引っかからないよう、組合せで覚えてください。

まずは、今日の10問から。

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