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貸金業務取扱主任者試験の金利規制|利息制限法・出資法・みなし利息を計算で整理

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金利の規制は、法令科目の中でも、数字と計算が集まる分野です。利息制限法・出資法・貸金業法の3つの法律が同じ「金利」を別々の角度から縛っているため、どの数字を超えると何が起きるのかを取り違えやすいところでもあります。この記事では、3つの法律の関係を1つの表にまとめたうえで、みなし利息、遅延損害金、保証料の上限を条文に沿って整理し、自作の計算例で手順を確かめます。

この記事の要点

  • 利息制限法の上限は、元本10万円未満が年20%、10万円以上100万円未満が年18%、100万円以上が年15%で、超えた部分の利息が無効になります。
  • 業として貸す場合、出資法の上限は年20%で、超えると刑事罰です。貸金業法42条は、年109.5%を超える利息の契約をした金銭消費貸借の契約そのものを無効にします。
  • 手数料などは名目を問わず利息とみなされます。営業的金銭消費貸借の遅延損害金の上限は年20%で、保証料は利息と合わせて利息制限法の上限の範囲に収める必要があります。

金利の規制は、3つの法律の重ね合わせ

まず全体像です。利息制限法は「契約の効力」(民事)、出資法は「刑事罰」、貸金業法は「貸金業者への行政上の規制」と「高金利の契約の無効」を受け持ちます。同じ数字でも、超えたときの効果が法律ごとに違う のが、この分野のいちばんのポイントです。

法律と条文基準となる金利超えたときの効果
利息制限法1条元本10万円未満 年20%/10万円以上100万円未満 年18%/100万円以上 年15%超えた部分の利息の契約が無効(契約そのものは有効)
貸金業法12条の8第1項・第4項利息制限法1条の金額貸金業者は、超える利息の契約の締結、受領、支払の要求をしてはならない。罰則の規定はなく、業務改善命令・業務停止・登録の取消しなどの行政処分の対象(24条の6の3、24条の6の4第1項2号)
出資法5条2項業として貸す場合 年20%契約・受領・支払の要求に刑事罰(5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、または併科)
出資法5条1項金銭の貸付けを行う者すべて(業としてかどうかを問わない) 年109.5%同じく5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、または併科。業として貸す場合は、2項(年20%)と3項が優先して適用される
出資法5条3項業として貸す場合 年109.5%10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金、または併科
貸金業法42条1項貸金業を営む者が業として行う契約で 年109.5%金銭消費貸借の契約そのものが無効

年109.5%は、2月29日を含む1年については年109.8%、1日当たりでは0.3%です(出資法5条1項・3項、貸金業法42条1項)。出資法と貸金業法42条の「利息」には、債務不履行について予定される賠償額(遅延損害金)も含まれます。法人の業務として違反した場合、法人にも罰金刑が科されます(出資法9条1項)。

利息制限法の上限は元本の額で15〜20%に分かれ、業として貸す場合の出資法の上限は一律に年20%です。元本10万円未満の区分では、2つの上限がどちらも年20%で重なります。一方、元本10万円以上の貸付けでは、利息制限法の上限(18%・15%)と出資法の20%の間に「すき間」 があります。たとえば元本50万円を年19%で貸す契約は、出資法の20%以下なので刑事罰の対象ではありませんが、利息制限法の18%を超える部分は無効です。さらに貸金業者は、貸金業法12条の8第1項によって、この契約を結ぶこと自体が禁じられています(違反は罰則ではなく、行政処分の対象です)。

利息制限法の上限と、営業的金銭消費貸借の特則

上限は「元本の額」で3つに分かれる

利息制限法1条は、金銭を目的とする消費貸借(お金の貸し借り)の利息の契約について、元本の額に応じた上限を定め、超えた部分を無効にしています。区分の境目は「10万円未満」「10万円以上100万円未満」「100万円以上」です。10万円ちょうどは18%、100万円ちょうどは15%の区分 に入ります。「以上」と「未満」の取り違えに注意してください。

利息を先に差し引いて貸す「天引き」をした場合は、天引額が、実際に受け取った額を元本として 上限の利率で計算した金額を超えるとき、超えた部分は元本の支払に充てたものとみなされます(利息制限法2条)。計算は、後の計算例3で確かめます。

営業的金銭消費貸借では、元本を合算する

債権者が業として行う金銭消費貸借を「営業的金銭消費貸借」といいます(利息制限法5条1号)。貸金業者の貸付けは、これにあたります。営業的金銭消費貸借では、借り方を分けて高い上限を使うことを防ぐため、次の2つの場合に元本を合算して区分を決めます(利息制限法5条)。

  • 重ねて借りた場合(5条1号): すでに借りている債務者が、同じ債権者から重ねて借りたときは、「すでに負担している債務の残元本」と「新たに借りた元本」の合計額を、新たな貸付けの元本の額とみなします。
  • 同時に2つ以上借りた場合(5条2号): 同じ債権者から同時に2つ以上借りたときは、それらの元本の合計額を、それぞれの貸付けの元本の額とみなします。

合算するのは「同一の債権者」からの貸付けだけです。別の貸金業者からの借入れは、利息制限法の区分には足しません(借入れの総額で考える総量規制とは、ここが違います。総量規制は総量規制の記事で扱っています)。

みなし利息:利息に含まれるもの・含まれないもの

利息制限法3条は、債権者が受け取る元本以外のお金を、礼金・割引金・手数料・調査料など 名目を問わず利息とみなす と定めています。これを「みなし利息」といいます。名前を「手数料」に変えても、上限の計算から逃れることはできません。貸金業法12条の8第2項と出資法5条の4第4項にも、同じ考え方の規定があります。

例外は、利息制限法3条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」です。ただし営業的金銭消費貸借では、この例外が 次の表のものに限られます(利息制限法6条)。

区分具体例扱い根拠
元本以外に受け取るお金(原則)礼金、割引金、契約の手数料、調査料など利息とみなす利息制限法3条本文
公租公課の支払に充てるもの印紙税など利息とみなさない利息制限法6条2項1号
公の機関が行う手続の費用強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用など利息とみなさない利息制限法6条2項2号
ATMなど機械の利用料1回の受取り・支払が1万円以下なら110円、1万円を超えるなら220円(消費税相当額を含む)までのもの利息とみなさない利息制限法6条2項3号、利息制限法施行令2条
債務者の要請で行う事務の費用カードの再発行の手数料、貸金業法により交付した書面の再発行(電磁的方法による再提供を含む)の手数料、弁済期に引き落とせなかったときの再度の口座振替の費用利息とみなさない利息制限法6条1項、利息制限法施行令1条

最後の行は、法令の規定により業として貸付けを行うことができる者(登録を受けた貸金業者など)の貸付けが対象です(利息制限法施行令1条)。貸金業法のみなし利息でも、ATMの利用料の上限は同じ110円・220円です(貸金業法施行令3条の2の3)。

遅延損害金(賠償額の予定)と保証料の上限

遅延損害金の上限

返済が遅れたときに払う損害賠償の額をあらかじめ決めておくことを「賠償額の予定」といい、いわゆる遅延損害金がこれにあたります。違約金も賠償額の予定とみなされます(利息制限法4条2項、7条2項)。上限は、営業的金銭消費貸借かどうかで変わります。

区分上限(元本に対する割合)根拠
営業的金銭消費貸借元本の額にかかわらず 年20%利息制限法7条1項
それ以外(業として行わない貸し借り)1条の利率の1.46倍。元本10万円未満 29.2%、10万円以上100万円未満 26.28%、100万円以上 21.9%利息制限法4条1項

どちらも、超えた部分が無効になります。業として貸す場合は、出資法の年20%の「利息」にも遅延損害金が含まれます(出資法5条1項・2項)。

「1.46倍」は、業として行わない貸し借りだけのルールです。貸金業者の貸付けの遅延損害金を「利率の1.46倍まで」とする選択肢は、適切ではありません。

保証料の上限

営業的金銭消費貸借の債務について、保証会社などが業として保証をし、主たる債務者が保証料を払う場合、利息と保証料を合わせて、利息制限法の上限の範囲に収める 仕組みになっています。主なルールは次のとおりです。

  • 保証料は、「法定上限額(1条・5条の例で計算した利息の上限額)」から「主たる債務について支払うべき利息の額」を引いた金額まで。超えた部分は無効です(利息制限法8条1項)。
  • 利息が変動利率の場合は、特約上限利率を定めて主たる債務者に通知したときは「法定上限額-特約上限利率で計算した利息の額」まで、そうでないときは「法定上限額の2分の1」までです(利息制限法8条2項)。
  • 保証料の契約の後に利息を増やしたときは、増加後の利息が「法定上限額-保証料の額」を超える部分が無効です(利息制限法9条1項)。
  • 保証料以外の名目で保証人が主たる債務者から受け取るお金も、一定の例外を除いて保証料とみなされます(利息制限法8条7項)。
  • 刑事罰の面では、業として保証を行う者が、貸付けの利息と合算して年20%を超える保証料の契約をすると、出資法5条の2第1項の罰則の対象になります。

例として、元本100万円・期間1年・年12%の貸付けに保証が付く場合を考えます。法定上限額は100万円×15%=15万円、利息は100万円×12%=12万円なので、保証料の上限は15万円-12万円=3万円 です。保証料を4万円と定めると、超えた1万円が無効になります。なお、利息12万円と保証料4万円の合計は16万円(年16%)で年20%以下なので、出資法5条の2の罰則の対象にはなりません。民事の無効と刑事罰で、基準が違うことが分かります。

計算例で、手順を確かめる

ここからは自作の計算例です。どれも期間1年として、日割りの計算を省いています。手順は「①元本の区分を決める → ②上限額を出す → ③利息とみなすお金を足す → ④比べる」です。

計算例1:手数料はみなし利息

貸金業者が、元本20万円を期間1年・年17%で貸し付け、契約時に事務手数料5,000円を受け取りました。

  1. 元本20万円は「10万円以上100万円未満」なので、上限は年18%です。
  2. 上限額は、200,000円×18%=36,000円です。
  3. 約定の利息は200,000円×17%=34,000円。事務手数料5,000円はみなし利息なので、利息は合計34,000円+5,000円=39,000円です。
  4. 39,000円-36,000円=3,000円が上限を超えており、この部分は無効です(利息制限法1条・3条)。

実質の年率は39,000円÷200,000円=19.5%で、出資法の年20%は超えていません。それでも、貸金業者は利息制限法の上限を超える契約を結んではならないので、貸金業法12条の8第1項に違反し、行政処分の対象になります。「年20%以下なら問題ない」とは言えない例です。

計算例2:同じ貸金業者から重ねて借りる

ある人が、貸金業者Aに残元本8万円の借入れがある状態で、同じAから新たに5万円を借りました。

  1. 新たな5万円だけを見ると「10万円未満」で年20%の区分ですが、利息制限法5条1号により、残元本8万円+新たな元本5万円=13万円を、新たな貸付けの元本の額とみなします。
  2. 13万円は「10万円以上100万円未満」なので、新たな5万円の貸付けの上限は年18%です。
  3. 1年分の上限額は、50,000円×18%=9,000円です(年20%なら10,000円でした)。

5条1号が元本の額をみなすのは、重ねて受けた貸付けの利息についてです。また、同時に2つ借りる場合は合計額で判断します。たとえば同じ貸金業者から同時に60万円と50万円を借りると、合計110万円なので、どちらの貸付けも年15% が上限になります(利息制限法5条2号)。60万円の上限額は90,000円、50万円の上限額は75,000円です。

計算例3:天引きをすると、実質の利率が上がる

貸金業者が、元本50万円・期間1年で、年18%にあたる利息9万円を天引きし、債務者は41万円を受け取りました。

  1. 利息制限法2条では、受領額41万円を元本として計算します。41万円も50万円も「10万円以上100万円未満」なので、利率は年18%です。
  2. 410,000円×18%=73,800円が、天引きできる上限です。
  3. 天引額90,000円-73,800円=16,200円が超過部分で、元本の支払に充てたものとみなされます。
  4. その結果、元本は500,000円-16,200円=483,800円として扱われます。

出資法でも、天引きの場合は 交付額を元本として 利息を計算します(出資法5条の4第2項)。90,000円÷410,000円≒21.95%となり、年20%を超えます。契約書では「年18%」に見えても、業として貸す場合は出資法5条2項の刑事罰の対象になります。

試験で迷いやすいポイント

  • 区分の境目: 10万円ちょうどは18%、100万円ちょうどは15%。「未満」と「以上」を読み違えない。
  • 効果の違い: 利息制限法は超過部分が無効、貸金業法42条は契約全体が無効、出資法は刑事罰。貸金業法12条の8の違反は、罰則ではなく行政処分の対象。
  • 出資法の数字: 年109.5%を超えると、業としてかどうかを問わず刑事罰(5条1項)。業として貸す場合は年20%を超えると刑事罰(5条2項)で、年109.5%を超えると、さらに重い罰則(5条3項)。
  • 遅延損害金: 営業的金銭消費貸借は年20%、それ以外は1.46倍。出資法の年20%には遅延損害金も含まれる。
  • みなし利息の例外は限られる: 営業的金銭消費貸借では、公租公課・公の機関の手続費用・上限内のATM利用料、カードや書面の再発行手数料、再度の口座振替の費用など、条文と政令に挙がったものだけ。
  • 短い貸付け: 出資法の計算では、期間が15日未満のときは15日として計算します(出資法5条の4第1項。貸金業法42条2項で、42条1項の計算にも準用)。

金利の分野は、数字と効果をセットで覚えておくと、「個数問題」や「組合せ問題」の形で問われても落ち着いて判断できます。解き方のコツは個数問題・組合せ問題の記事にまとめています。貸金業法のほかの規制は貸金業法の攻略で扱っています。

利息制限法の区分・元本の合算・みなし利息・遅延損害金・保証料を、計算つきの4択問題で確かめましょう。1回10問、解説には根拠の条文が付いています。

「利息制限法」の10問を解く

出資法の上限と罰則、貸金業法42条の無効、みなし利息の扱いは、こちらの項目で練習できます。

「金利の規制(出資法・貸金業法)」の10問を解く

この記事の項目で、問題を解く

よくある質問

Q.利息制限法と出資法の上限金利は、どう違いますか。
利息制限法は元本の額に応じて年15%・18%・20%の上限を定め、超えた部分の利息を無効にします(民事)。出資法は、業として貸す場合に年20%を超える利息の契約や受領を刑事罰の対象にします。業としない貸し借りでも、年109.5%を超えると刑事罰の対象です。
Q.ATMの利用料やカードの再発行手数料は、みなし利息になりますか。
なりません。ATMの利用料は、1万円以下の受取り・支払で110円、1万円超で220円(消費税相当額を含む)までなら利息とみなされません。カードの再発行の手数料も、債務者の要請による事務の費用として除かれます(利息制限法6条、同法施行令1条・2条)。
Q.貸金業者の貸付けの遅延損害金は、何%までですか。
年20%までで、超えた部分は無効です(利息制限法7条1項)。利率の1.46倍まで認める規定(同法4条1項)は、業として行わない貸し借りに適用されるものです。

まずは、今日の10問から。

貸金なびは、貸金業務取扱主任者資格試験の全41項目を、10問ずつ学べる学習アプリです。登録なしで、そのまま試せます。

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参考にした公的な情報

この記事は、法令や公開されている情報をもとに、貸金なびが独自にまとめたものです。試験の最新情報(試験日、時間割、合格基準、法令の基準日など)は、実施団体である日本貸金業協会の受験案内で、必ずご確認ください。運営者・編集方針は貸金なびについてをご覧ください。