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貸金業務取扱主任者試験 令和8年度の変更点|拘禁刑・法改正のまとめ

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令和8年度(2026年11月15日)の試験で、何が変わったのかをまとめます。結論から言うと、問題数・形式・試験時間は前年と同じです。変わったのは、出題の根拠となる法令の基準日で、2026年4月1日になりました。そのため、2025年4月2日から2026年4月1日までに施行された改正が、今年から出題の対象になります。この記事では、それらの改正を試験への影響が大きい順に並べ、改正の前と後で条文がどう変わったかを整理します。

この記事の要点

  • 令和8年度の貸金業務取扱主任者試験は、50問・4肢択一・2時間という形式は前年と同じで、法令の基準日が2026年4月1日に変わりました。
  • 影響が最も大きい改正は、貸金業法・出資法の懲役・禁錮が「拘禁刑」になったことで、年数と罰金額は変わっていません。
  • 特定公正証書が電磁的記録を含む形になり(貸金業法20条)、民法の一般の先取特権に「子の監護の費用」が加わって5種類になりました(民法306条)。

結論:試験の形式は同じ。法令の基準日が2026年4月1日に移った

日本貸金業協会は、令和8年度の試験について「出題に係る法令等については、令和8年4月1日において施行されている法令等」とすると公表しています(出題根拠となる法令の基準日)。令和7年度の基準日は2025年4月1日でした。問題数や試験時間など、試験の実施の仕方は次のとおり前年とほぼ同じです。

項目令和7年度(第20回)令和8年度
試験日2025年11月16日(日)2026年11月15日(日)
受験申込の受付7月1日(火)〜9月10日(水)7月1日(水)〜9月10日(木)
受験票の発送10月24日(金)10月23日(金)
試験時間13時00分〜15時00分(2時間)13時00分〜15時00分(2時間)
問題数・形式50問・4肢択一(マークシート)50問・4肢択一(マークシート)
試験地17試験地17試験地
受験手数料8,500円(政令の額。令和7年度の実施要領では未確認)8,500円(消費税額なし。返還なし)
科目別出題数の目安公式発表で確認できず22〜28問・14〜18問・4〜6問・2〜4問
途中退出できないできない
法令の基準日2025年4月1日2026年4月1日
合格発表2026年1月9日(金)2027年1月12日(火)

出典: 日本貸金業協会の令和8年度試験実施要領、令和7年度・令和8年度の実施要領公表のお知らせ(令和7年度・令和8年度)、第20回の試験結果、令和7年度の試験問題用紙の注意事項(試験時間・途中退出・基準日)。受験手数料の額は貸金業法施行令3条の13第1項で8,500円と定められており、令和7年度の基準日(2025年4月1日)の版でも同じ額でした。

新しく範囲に入った改正のうち、試験に関係するものを影響の大きい順に並べると、次のようになります。それぞれ、このあとの見出しで改正の前後を比べます。

影響度法令主な条文内容
高貸金業法・出資法貸金業法6条1項4号・47条〜48条の3、出資法5条〜8条懲役・禁錮が「拘禁刑」に。年数と罰金額は同じ
中〜高貸金業法・同施行規則貸金業法20条1項、施行規則18条特定公正証書に電磁的記録で作られたものを含める
中民法306条・308条の2、818条・819条・824条の2、969条一般の先取特権が5種類に、離婚後の共同親権、公正証書遺言の方式
中民事執行法22条5号、181条執行証書・担保権の実行を電磁的記録に対応
中犯収法施行規則6条1項1号ルスマートフォンを使う本人確認の方法を追加
中個人情報保護法176条〜181条罰則の懲役が拘禁刑に
低所得税法など所得税法28条・86条ほか給与所得控除・基礎控除の見直しなど

影響度・高:懲役・禁錮が「拘禁刑」に(貸金業法・出資法)

2025年6月1日に刑法の改正が施行され、懲役と禁錮が廃止されて「拘禁刑」に一本化されました。いまの主刑(付加刑の没収を除いた刑)は、死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料の5つです(刑法9条)。これに合わせて、刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号。以下「整理法」)により、貸金業法・出資法などの罰則の「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に書き換えられました。

大事なのは、年数と罰金額は変わっていないことです。罰則の数字は、これまでどおり覚えて大丈夫です。変わったのは刑の名前だけです。

条文主な違反改正前改正後(令和8年度の出題の根拠)
貸金業法47条不正の手段による登録、無登録営業(11条1項)、名義貸し(12条)10年以下の懲役10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金(併科あり)
貸金業法47条の2業務停止命令に違反して営業5年以下の懲役5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)
貸金業法47条の3第1項登録申請書の虚偽記載、無登録での表示・広告・勧誘(11条2項)、取立て行為の規制違反(21条1項)、信用情報の目的外使用(41条の38)など2年以下の懲役2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)
貸金業法48条1項暴力団員等の使用(12条の5)、虚偽のことを告げる行為(12条の6第1号)など1年以下の懲役1年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)
貸金業法48条の2貸金業協会の営利目的の業務(30条違反)など1年以下の懲役1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(併科あり)
貸金業法50条の3第1項貸金業協会の役員・職員の収賄5年以下の懲役5年以下の拘禁刑
出資法5条1項年109.5%を超える利息の契約・受領・支払の要求(業としてかどうかを問わない)5年以下の懲役5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)
出資法5条2項業として貸す場合に年20%を超える利息の契約・受領・支払の要求5年以下の懲役5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)
出資法5条3項業として貸す場合に年109.5%を超える利息の契約・受領・支払の要求10年以下の懲役10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金(併科あり)
出資法5条の2第1項保証料と利息を合算して年20%を超える保証料の契約など5年以下の懲役5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)
出資法8条3項出資金の受入れ(1条)、預り金(2条1項)、浮貸し(3条)、媒介手数料の制限(4条1項・2項)の違反3年以下の懲役3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)

罰金額・併科の有無は改正の前後で同じです。条文: 貸金業法(e-Gov)、出資法(e-Gov)。金利の罰則の詳しい整理は金利の記事で扱います。

登録の拒否事由:「禁錮以上の刑」から「拘禁刑以上の刑」へ

罰則だけでなく、貸金業の登録の拒否事由も書き換えられました。改正前の貸金業法6条1項4号は「禁錮以上の刑に処せられ」た者でしたが、改正後は「拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者」です。主任者登録の拒否事由(法24条の27第1項4号)も同じように変わりました。「5年」という期間は変わっていません。

  • 「拘禁刑以上の刑」に当たるのは、死刑と拘禁刑です(刑の重さは刑法9条の順。刑法10条1項)。罰金は含まれません。
  • 罰金刑が拒否事由になるのは、貸金業法・出資法・暴力団対策法などに違反した場合などに限られます(法6条1項5号)。この区別は改正前と同じです。
  • 指定信用情報機関や指定紛争解決機関の役員の要件(法41条の13、41条の39)にも、同じ書き換えがあります。

影響度・中〜高:特定公正証書のデジタル化(貸金業法20条)

公正証書が電磁的記録(電子データ)でも作られるようになったことに合わせて、貸金業法20条の「特定公正証書」の定義が変わりました。特定公正証書とは、債務者等が、債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨を述べた公正証書のことです。裁判をしなくても強制執行ができるため、法20条で厳しく制限されています。

改正前改正後
特定公正証書の定義(法20条1項)強制執行に服する旨の陳述が「記載された」公正証書強制執行に服する旨の陳述が「記載され、又は記録された」公正証書
取得が禁止されるもの(法20条1項)公証人への嘱託を代理人に委任することを証する「書面」同じく委任を証する「書面又は電磁的記録」
説明する事項(施行規則18条1項)特定公正証書に「記載された」内容の債務を履行しないときは、訴訟を起こさずに強制執行ができる旨特定公正証書に「記載され、又は記録された」内容の債務を履行しないときは、訴訟を起こさずに強制執行ができる旨
  • 変わっていない点: 代理人の選任について、推薦などの関与をしてはならない(法20条2項)。特定公正証書の作成を嘱託するときは、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない(法20条3項)。
  • 主語に注意: 1項・2項は「貸金業を営む者」(登録の有無を問わない)、3項は「貸金業者」です。
  • 委任状を電子データで受け取っても禁止を免れない、というのが改正の要点です。「書面でなければ規制の対象外」という選択肢は誤りになります。

影響度・中:民法・民事執行法・犯収法施行規則・個人情報保護法

民法①:一般の先取特権が5種類に(306条)

2026年4月1日に、民法の家族法の改正が施行されました。担保物権の分野で出題に直結するのは、一般の先取特権(債務者の総財産の上に成り立つ先取特権)の種類が4つから5つに増えたことです(民法(e-Gov))。

号改正前(4種類)改正後(5種類)
1号共益の費用共益の費用
2号雇用関係雇用関係
3号葬式の費用子の監護の費用(新設)
4号日用品の供給葬式の費用
5号—日用品の供給

一般の先取特権どうしが競合したときの順位は、306条の各号の順です(民法329条1項)。子の監護の費用は、雇用関係の次、葬式の費用の前になります。内容は308条の2(新設)で、養育費などの定期金のうち、子の監護に要する費用として相当な額が対象です。

民法②:離婚後の共同親権と、親権の行使(818条・819条・824条の2)

  • 婚姻中は、父母の双方が親権者です(818条2項)。協議離婚では、父母の「双方又は一方」を親権者と定めます(819条1項)。改正前は「その一方」でした。
  • 親権は父母が共同して行うのが原則です。ただし、一方のみが親権者のとき、他の一方が親権を行えないとき、子の利益のため急迫の事情があるときは、一方が行います(824条の2第1項)。監護・教育に関する日常の行為は、単独でできます(同条2項)。
  • 未成年者が契約するときの法定代理人の同意など、制限行為能力の問題で「親権者」が出てきたら、離婚後も双方が親権者でありうることに注意します。
  • そのほか、財産分与を家庭裁判所に請求できる期間が離婚から2年→5年に延び(768条2項)、夫婦間の契約の取消権(旧754条)は削除されました。

民法③:公正証書遺言の方式(969条)

公正証書遺言の方式が整理されました。改正前の969条は5つの号で、証人2人以上の立会い、遺言者の口授のほか、公証人の筆記と読み聞かせ、遺言者・証人の署名押印、公証人の付記までを定めていました。改正後の969条1項は「証人二人以上の立会い」と「遺言の趣旨を公証人に口授すること」の2つだけで、公正証書は公証人法の定めるところにより作成する、とされました(969条2項)。相続の分野で遺言の方式が問われたときは、新しい条文の形で覚えてください。

民事執行法:執行証書と担保権の実行

  • 債務名義となる公正証書(執行証書)は、強制執行に服する旨の陳述が「記載され、又は記録されている」ものになりました(民事執行法22条5号)。貸金業法20条の改正と同じ趣旨です。
  • 不動産担保権の実行の開始(181条1項): 改正前は、確定判決の謄本・公正証書の謄本・登記事項証明書・一般の先取特権の存在を証する文書のいずれかが「提出されたときに限り」開始するとされていました。改正後は、担保権の登記(仮登記を除く)がされた不動産については「実行の申立て」(1号)、それ以外は確定判決・公正証書などの「文書又は電磁的記録」の提出(2号)があったときに限り開始する形になり、登記事項証明書の提出は要件から外れました。

犯収法施行規則:スマートフォンを使う本人確認(6条1項1号ル)

取引時確認での本人特定事項の確認方法に、新しい方法が加わりました(2025年6月24日施行)。顧客から、カード代替電磁的記録(マイナンバーカードの券面の事項と写真などを、スマートフォンなどの移動端末設備に記録して使えるようにした電子データ。番号利用法2条8項・18条の2)のうち、氏名・住居・生年月日・写真の情報が記録されたものを、認定を受けたプログラムで送信してもらい、それが送信した本人のものであることを確かめる方法です(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則6条1項1号ル)。この追加により、改正前のル〜カの方法は、ヲ〜ヨに1つずつずれています。

個人情報保護法:罰則の拘禁刑

個人情報保護法の罰則も、懲役が拘禁刑になりました(176条〜181条)。たとえば、個人情報取扱事業者の従業者などが、業務で扱った個人情報データベース等を不正な利益を図る目的で提供・盗用したときは、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(179条)。個人情報保護委員会の命令に違反したときは、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(178条)。法人に対する罰金(1億円以下。184条1項1号)は変わっていません。

影響度・低:所得税法・監督指針、変わらなかった法令

  • 所得税法: 給与所得控除の最低額が55万円から65万円に(収入金額190万円以下は65万円。28条3項1号)、基礎控除が48万円から58万円に(合計所得金額2,350万円以下の場合。86条1項1号)なり、特定親族特別控除(84条の2)が新設されました。財務・会計の科目で源泉徴収票など所得の関係書類を読む問題に関係しますが、影響は小さいと考えられます。
  • 監督指針: 金融庁の「貸金業者向けの総合的な監督指針」は、2025年10月1日にシステム障害の報告様式の軽微な変更があった程度です(金融庁の公表)。
  • 拘禁刑への置き換えだけの法令: 消費者契約法・景品表示法・暴力団対策法・犯罪収益移転防止法・会社法・刑法などは、罰則の表記の書き換えや、他の法令の参照の修正が中心です。
  • 改正のなかった法令: 利息制限法・商法・手形法・小切手法は、前年の基準日から改正がありません。特定調停法と会社計算規則も、本文の変化はありません。日本貸金業協会の自主規制基本規則の最後の改正は2025年3月10日で、前年の基準日より前です。

基準日より後の改正は、今年の試験には出ない

2026年4月2日以降に施行された改正や、これから施行される改正は、令和8年度の試験の範囲に入りません。ニュースで見た新しい制度を、答えの根拠にしないようにしてください。たとえば、次のものは基準日より後です。

  • 民事訴訟法のIT化の全面施行(2026年5月21日)
  • 貸金業法施行令(2026年5月25日)・貸金業法施行規則(2026年8月6日・8月31日)・民法(2026年6月24日)の、基準日より後の改正
  • 犯収法施行規則の、非対面の本人確認の方法の見直し(2027年4月1日施行)
  • 個人情報保護法の令和8年の改正
  • 金融庁の監督指針の2026年5月・7月の改正

貸金なびの問題は、すべて基準日2026年4月1日の条文で作っています。罰則は「拘禁刑」で、一般の先取特権は5種類で出題します。試験の日程と過去の合格率は試験の概要の記事に、貸金業法全体の整理は貸金業法の記事にまとめています。

罰則の年数と金額を、改正後の「拘禁刑」の表記で確かめる

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よくある質問

Q.令和8年度の貸金業務取扱主任者試験で、試験の形式は変わりましたか。
変わっていません。50問の4肢択一(マークシート)で、試験時間は13時から15時の2時間です。変わったのは法令の基準日で、2026年4月1日に施行されている法令から出題されます。
Q.貸金業法の罰則の「懲役」は、試験ではどう扱われますか。
2025年6月1日の刑法改正で、懲役・禁錮は「拘禁刑」になりました。基準日の条文は「拘禁刑」なので、そのように覚えます。年数と罰金額は改正の前後で同じです(例: 無登録営業は10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金、併科あり。貸金業法47条)。
Q.2026年4月より後に施行された法改正は、試験に出ますか。
出ません。令和8年度の試験は、2026年4月1日に施行されている法令等が出題の根拠です。民事訴訟法のIT化の全面施行(2026年5月21日)のように、それより後に施行された改正は範囲外です。

まずは、今日の10問から。

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参考にした公的な情報

この記事は、法令や公開されている情報をもとに、貸金なびが独自にまとめたものです。試験の最新情報(試験日、時間割、合格基準、法令の基準日など)は、実施団体である日本貸金業協会の受験案内で、必ずご確認ください。運営者・編集方針は貸金なびについてをご覧ください。