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貸金業務取扱主任者試験の総量規制|年収の3分の1・年収証明書・除外と例外

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総量規制は、貸金業法の中でも計算と要件の細かさが問われる分野です。この記事では、返済能力の調査(法13条)から、年収証明書が必要になる金額、年収等の3分の1の計算、除外契約と例外契約の違い、極度方式基本契約の途上与信までを、条文と自作の計算例で整理します。法人向けの貸付けや保証人の扱いもあわせて確かめます。

この記事の要点

  • 総量規制では、個人顧客の借入れの合計(個人顧客合算額)が、年収等の3分の1(基準額)を超えることになる貸付けの契約は、原則として締結できません(貸金業法13条の2)。
  • 年収証明書は、自社の合計が50万円を超えるとき、または他社を含む合計が100万円を超えるときに必要です(法13条3項)。
  • 総量規制の判定では、除外契約(施行規則10条の21)の残高は個人顧客合算額から除かれ、例外契約(施行規則10条の23)の残高は除かれません。例外契約は、要件を満たせば基準額を超えることになっても締結できます。

全体像:3つの段階と、誰が対象になるか

貸付けの量に関する貸金業者の義務は、3つの段階に分かれます。(1) 契約の前に返済能力を調べる(法13条)、(2) 調べた結果、個人過剰貸付契約などに当たれば契約しない(法13条の2)、(3) 極度方式基本契約(カードローンのように、極度額の範囲で繰り返し借りられる契約)は、契約の後も定期的に調べ直す(法13条の3・13条の4)。「総量規制」は、(2)の個人過剰貸付契約の禁止を指す通称です。

ひっかけの多くは、誰が対象かの入れ替えです。条文の言葉を手がかりに、表で整理します。

義務個人の借り手個人の保証人法人条文
返済能力の調査必要必要必要法13条1項
指定信用情報機関の信用情報の使用必要必要不要法13条2項
年収証明書の提出金額により必要不要不要法13条3項
返済能力を超える貸付けの禁止対象対象(保証契約)対象法13条の2第1項
個人過剰貸付契約の禁止(総量規制)対象対象外対象外法13条の2第1項・2項
極度方式基本契約の途上与信対象対象外対象外法13条の3

「顧客等」は、資金需要者である顧客と、保証人となろうとする者を指し(法2条4項)、「貸付けの契約」には保証契約も含まれます(法2条3項)。そのため、返済能力を超える貸付けの禁止(法13条の2第1項)は、保証人となろうとする者の返済能力を超える保証契約にも及びます。一方、3分の1の基準を使う個人過剰貸付契約は「個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約」に限られ(同条2項)、法13条3項以下の「個人顧客」は資金需要者である個人の顧客だけを指します。法13条2項は「個人である顧客等」なので、保証人も含みます。

返済能力の調査・信用情報・年収証明書

貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとするとき、顧客等の収入または収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画などを調査します(法13条1項)。ここでいう「貸付けの契約」には保証契約も含まれます(法2条3項)。個人である顧客等との契約では、調査に指定信用情報機関の信用情報を使わなければなりません(法13条2項)。

信用情報の使用が求められない契約は、極度方式貸付け(枠の中の個々の借入れ)、手形(融通手形を除く)の割引、金融商品取引業者が保護預りの有価証券を担保に行う一定の貸付け、貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介です(施行規則10条の16、1条の2の3)。契約を締結したら、調査の記録を作成し、原則として最終の返済期日(債権が消滅したときはその日)まで保存します(法13条4項、施行規則10条の18)。

指定信用情報機関との関係

  • 信用情報の提供を依頼する前に、資金需要者等から、書面または電磁的方法で同意を得ます(法41条の36第1項)。
  • 個人の顧客と貸付けの契約を結ぶ前に、個人信用情報を指定信用情報機関に提供することなどについて、同意を得ます(法41条の36第2項)。
  • 契約を締結したら、遅滞なく個人信用情報を提供し、変更があれば遅滞なく変更内容を提供します(法41条の35第2項・3項)。
  • 返済能力等の調査以外の目的で、信用情報の提供を依頼したり、使ったり、第三者に提供したりしてはなりません(法41条の38第1項)。違反は2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)です(法47条の3第1項6号)。

年収証明書が必要になる「50万円」と「100万円」

個人顧客と契約するとき、次のどちらかに当たれば、源泉徴収票などの資力を明らかにする書面(いわゆる年収証明書)の提出を受けます(法13条3項)。どちらも「超える」場合で、ちょうどの額は含みません。

基準中身必要になる場合
当該貸金業者合算額今回の貸付けの金額+自社の既存の貸付けの残高(自社の極度方式基本契約は極度額で数える)50万円を超える(法13条3項1号)
個人顧客合算額当該貸金業者合算額+指定信用情報機関で分かった、他の貸金業者の貸付けの残高100万円を超える(法13条3項2号)

極度額を下回る額を利用の上限として示す場合は、その額で数えます。すでに年収証明書の提出を受けている場合は不要ですが、勤務先が変わったなど資力に変更があったと認められるときは、変更後のものに限ります(法13条3項ただし書、施行規則10条の17第1項ただし書)。

  • 例1:他社の借入れなし。自社で極度額60万円のカードローンを新たに契約 → 当該貸金業者合算額60万円が50万円を超えるので、年収証明書が必要です。
  • 例2:他社の残高80万円。自社で30万円を新たに貸付け → 当該貸金業者合算額は30万円ですが、個人顧客合算額が110万円で100万円を超えるので、必要です。
  • 例3:他社の残高50万円。自社で50万円を新たに貸付け → 50万円も100万円も「超えない」ので、法13条3項による提出は求められません。

年収証明書にあたる書面は、源泉徴収票、支払調書、給与の支払明細書、確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書、納税通知書、納税証明書、所得証明書、年金証書、年金通知書などです(施行規則10条の17第1項)。給与の支払明細書は、原則として直近2月分以上が必要です(同条2項2号)。

総量規制:年収等の3分の1を計算する

個人過剰貸付契約とは、個人顧客との貸付けに係る契約で、その契約を結ぶと個人顧客合算額が基準額を超えることになるものです(法13条の2第2項)。基準額は、年間の給与とこれに類する定期的な収入の金額(以下「年収等」)に3分の1を掛けた額です。住宅資金貸付契約などの除外契約と、極度方式貸付けは、個人過剰貸付契約の範囲から除かれます。要件を満たす例外契約(後で説明します)も、個人過剰貸付契約に当たりません。

  • 給与に類する定期的な収入:年間の年金、恩給、定期的に受け取る不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く)、事業所得(過去の状況に照らして安定的と認められるもの)(施行規則10条の22第1項)。
  • 年収等の出し方:年収証明書から算出するほか、給与の支払明細書の直近2月分以上の給与(賞与を除く)の月平均に12を掛ける方法、地方税額から合理的に算出する方法があります(同条2項)。明細書で計算するときも、過去1年以内の賞与を書面で確かめれば、含めることができます(同条3項)。

自作の例で計算してみます。給与の支払明細書(直近2月分)の月平均が25万円、書面で確かめた過去1年以内の賞与が60万円の人は、25万円×12+60万円=360万円が年収等で、基準額は120万円です。

ケース個人顧客合算額判定
他社の残高70万円、自社で50万円を申込み120万円基準額120万円を超えないので、個人過剰貸付契約に当たらない。ただし個人顧客合算額が100万円を超えるので、年収証明書(この例では給与の支払明細書)の提出を受ける必要がある
他社の残高70万円、自社で60万円を申込み130万円基準額を超えるので個人過剰貸付契約。例外契約に当たらなければ、締結できない
年収等300万円(基準額100万円)。他社(貸金業者)に、その貸金業者が自動車の所有権を取得している自動車購入ローンの残高150万円と、ほかの借入れの残高40万円40万円+申込額自動車購入ローンは除外契約なので、総量規制の判定では合算額に入れない。申込額60万円までなら基準額を超えない

除外契約の残高を除くのは、総量規制の判定(法13条の2第2項)です。年収証明書の要否を決める個人顧客合算額(法13条3項)には、この除外の定めがありません。3つ目のケースでは、自動車購入ローンを含めると100万円を超えるので、すでに提出を受けていなければ、年収証明書が必要です。

除外契約と例外契約の違い

総量規制から外れる契約には、2種類あります。名前が似ていますが、残高を合算額に入れるかどうかが違います。

除外契約例外契約
根拠施行規則10条の21施行規則10条の23
総量規制との関係そもそも個人過剰貸付契約の範囲から外れる要件を満たせば、基準額を超えることになっても個人過剰貸付契約に当たらない
残高の扱い(総量規制の判定)個人顧客合算額から除く(法13条の2第2項の「住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く」)除く定めがないので、個人顧客合算額に入る
共通返済能力の調査(法13条)と、返済能力を超える貸付けの禁止(法13条の2第1項)はかかる。根拠となる書面を保存する(除外契約は1号〜7号のもの)同左

書面の保存は、施行規則10条の21第2項・10条の23第2項。保存期間は、原則として契約に定められた最終の返済期日(債権が消滅したときはその日)までです。

除外契約の代表例(施行規則10条の21第1項)

  • 不動産の建設・購入・改良に必要な資金の貸付け(住宅に限らない)と、そのつなぎの貸付け(1号・2号)
  • 自動車の購入資金の貸付けで、貸金業者が自動車の所有権を取得し、または自動車が譲渡担保になっているもの(3号)
  • 本人または生計を一にする親族の高額療養費を支払うための貸付け(4号)
  • 一定の有価証券を担保とし、貸付けの金額が時価の範囲内のもの(5号)
  • 不動産を担保とし、返済能力を超えず、不動産の価格の範囲内のもの。ただし居宅など生活に不可欠なものを担保とする場合は除く(6号)
  • 売却を予定している不動産の売却代金で返済する、価格の範囲内の貸付け(7号)
  • 手形(融通手形を除く)の割引、金融商品取引業者の一定の有価証券担保貸付け、金銭の貸借の媒介(8号)

例外契約の代表例(施行規則10条の23第1項)

  • 顧客に一方的に有利な借換え:1月の負担も将来の返済総額も増えず、担保・保証の条件が不利にならないもの(1号)
  • 貸金業者からの借入れをまとめる借換え:弁済する債務がすべて貸金業者(みなし貸金業者を含む)からの借入れで、利率が元の契約の加重平均を上回らず、残高が段階的に減っていくもの。1月の負担が増えないこと、担保・保証の条件が不利にならないことも必要(1号の2)
  • 緊急の医療費:本人または生計を一にする親族の、高額療養費を除く緊急に必要な医療費の貸付けで、返済能力を超えないもの(2号)
  • 特定緊急貸付契約:外国で緊急に必要になった費用や、社会通念上緊急に必要と認められる費用の貸付けで、返済能力を超えず、特定緊急貸付契約どうしの合算額(他の貸金業者の分を含む)が10万円以下、返済期間が3月以内のもの(2号の2)
  • 配偶者と合わせた年収:本人と配偶者の個人顧客合算額の合計が、2人の基準額の合計を超えないもの(配偶者の同意が必要)(3号)
  • 事業者向け:事業を営む個人への貸付けで、事業の実態が確かめられ、事業計画などに照らして返済能力を超えないもの(4号)。新たに事業を始める個人への、確実に事業に使われる資金の貸付けで、返済能力を超えないもの(5号)
  • 金融機関の貸付けまでのつなぎ:正規の貸付けが確実で、返済期間が1月以内のもの(極度方式基本契約を除く)(6号)

極度方式基本契約と途上与信

極度方式の個々の借入れ(極度方式貸付け)は、そのたびに信用情報を使う義務がなく(施行規則10条の16第1号)、個人過剰貸付契約の範囲からも外れます(法13条の2第2項)。その代わり、極度方式基本契約そのものを、契約の後も調べ続けます。これを途上与信と呼びます。

場面基準・時期条文
極度額を増額するとき新しい契約と同じく、調査・信用情報の使用・年収証明書(金額による)・記録が必要。連絡が取れないため一時的に減額していた極度額を、元の額に戻す場合は除く法13条5項、施行規則10条の19
毎月の調査1か月ごとの期間で、極度方式貸付けの合計が5万円を超え、かつ期間の末日の残高が10万円を超えたとき。末日から3週間を経過する日までに信用情報の提供を依頼法13条の3第1項、施行規則10条の24
定期の調査3月以内ごと。末日の残高が10万円以下の場合や、新たな貸付けを停止する措置をとっている場合などは不要。末日から3週間を経過する日までに依頼法13条の3第2項、施行規則10条の25
年収証明書極度方式個人顧客合算額が100万円を超えるとき。超えると知った日から1月以内に提出を受ける。すでに受けている書面は、原則として過去3年以内に発行されたものなら使える(発行から2年を経過した日以後1年以内に勤務先が変わっていないことを確かめた場合は5年以内。資力に変更があれば変更後のもの)法13条の3第3項、施行規則10条の26
記録調査の記録を作成し、作成後3年間保存法13条の3第4項、施行規則10条の27
基準額を超えていたとき極度額の減額、または新たな極度方式貸付けの停止法13条の4、施行規則10条の29

極度方式個人顧客合算額は、その契約の極度額+自社のほかの貸付けの残高(極度方式基本契約は極度額)+他の貸金業者の貸付けの残高です。住宅資金貸付契約等の残高は除きます(法13条の3第5項)。

自作の例です。ある1か月の期間に3万円を2回借り(合計6万円)、期間の末日の残高が12万円なら、「5万円超」と「10万円超」の両方に当たるので、毎月の調査が必要です。同じ期間の借入れが合計5万円ちょうどなら「5万円を超え」に当たらず、この調査は求められません(3月ごとの定期の調査は別に考えます)。

数字の一覧と罰則

数字内容条文
3分の1年収等に掛けて基準額を出す法13条の2第2項
50万円超当該貸金業者合算額 → 年収証明書法13条3項1号
100万円超個人顧客合算額 → 年収証明書法13条3項2号
直近2月分以上給与の支払明細書施行規則10条の17第2項2号
×12・過去1年以内給与の月平均から年収を出す/含められる賞与施行規則10条の22第2項2号・3項
10万円以下・3月以内特定緊急貸付契約施行規則10条の23第1項2号の2
1月以内金融機関の貸付けまでのつなぎ施行規則10条の23第1項6号
5万円超かつ10万円超途上与信(毎月の調査)の基準施行規則10条の24第1項1号
3月以内途上与信(定期の調査)の間隔施行規則10条の25第1項
3週間途上与信で信用情報の提供を依頼する期限施行規則10条の24第2項、10条の25第2項
100万円超・1月以内途上与信の年収証明書法13条の3第3項、施行規則10条の26第1項
3年間途上与信の調査記録の保存施行規則10条の27第2項
主な違反罰則条文
信用情報を使った調査をせずに契約し、または極度額を増額した1年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)法48条1項1号の4
途上与信の調査をしなかった1年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)法48条1項1号の5
年収証明書の提出を受けなかった100万円以下の罰金法49条3号の2
調査の記録を作成・保存しなかった100万円以下の罰金法49条3号の3
信用情報を目的外に使った2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)法47条の3第1項6号

過剰貸付け等の禁止(法13条の2)と、基準額超過のときの措置(法13条の4)の違反そのものは、罰則の条文(法47条〜52条)に挙がっていません。業務改善命令や登録の取消し・業務停止といった行政処分の対象になり得ます(法24条の6の3、24条の6の4第1項2号)。

総量規制は、数字を覚えたあと、計算の手順を問題で繰り返すと定着します。貸金業法のほかの分野は貸金業法の攻略の記事、試験までの進め方は1か月の学習スケジュールで紹介しています。

個人過剰貸付契約、除外契約と例外契約の区別を、問題で確かめましょう。間違えた問題は復習リストに入ります。

「過剰貸付けの禁止(総量規制)」の10問を解く

途上与信の5万円・10万円・3月・3週間は、取り違えやすい数字です。極度方式基本契約の問題も解いておきましょう。

「極度方式基本契約と途上与信」の10問を解く

この記事の項目で、問題を解く

よくある質問

Q.総量規制は、法人への貸付けにも適用されますか。
適用されません。個人過剰貸付契約は「個人顧客」を相手方とする契約に限られます(法13条の2第2項)。ただし、法人向けでも返済能力の調査と、返済能力を超える貸付けの禁止はかかります(法13条1項、13条の2第1項)。
Q.年収が360万円の人は、貸金業者からいくらまで借りられますか。
年収等(給与と、年金・事業所得などの定期的な収入)が360万円なら、基準額はその3分の1の120万円です。他の貸金業者の残高を含む個人顧客合算額が120万円を超えない範囲なら、総量規制には当たりません。ちょうど120万円は「超える」に当たりません。除外契約の残高は合算額に入れません。
Q.除外契約と例外契約は、何が違いますか。
除外契約(住宅や自動車の購入資金、高額療養費など)は個人過剰貸付契約の範囲から外れ、総量規制の判定では残高も個人顧客合算額から除きます(法13条の2第2項)。例外契約(有利な借換え、緊急の医療費、配偶者と合算した年収など)は、要件を満たせば基準額を超えることになっても締結できる契約で、残高は合算額に入ります。

まずは、今日の10問から。

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参考にした公的な情報

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